2004年10月10日(日)6:00PM
弘前オペラ 《カルメン》

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 連休を利用して「弘前オペラと十和田湖の旅」をしてきました。
 弘前といえば春の「さくら祭り」と「岩木山(津軽富士)」、そして秋は林檎が有名な、みちのくの城下町です。
 
弘前城さくら祭り 桜と岩木山


 35年の歴史を持つ弘前オペラは地方オペラの先駆けとして知られ、1992年には「志鳥音楽賞」を受賞しています。
 残念なことに、本年3月3日に、創立以来の中心メンバーだった虎谷千佳子さんが逝去され、今回は追悼公演となってしまいました。

 「マダムバタフライ」のタイトルロールなどを演じた美貌のソプラノ虎谷さんは、まだ50代半ばという若さで、病に倒れられました。
 『津軽の渡辺葉子(世界的ソプラノ・乳ガンのためミラノで死去・51歳)』と言ってよいでしょう。

弘前市民会館 看 板
入り口 コーヒー売り場
ロビーの花束 二階への階段


 会場は弘前公園の中にある「弘前市民会館」で、築後40年ほど経つ、座席1600席のホールです。

 会場は立錐の余地もない状態、というより溢れてしまい、最後列(僕の席)の後ろに立ち見客が並んでいます。
 プログラムも途中で無くなってしまったそうで、さすが35年の蓄積です。

 一幕ごとに15分の休憩があり、終演は9時30分でした。
 原語上演で、舞台下の板に字幕が出ましたが、一幕は途中で消滅してしまいました。
 オペラは総合芸術だと、改めて思いました (^_^;。

2階ロビー 超満席の客席
下から眺めると オケピット


      弘前オペラ第34回公演 《カルメン》
 2004年10月10日(日)6:00PM 弘前市民会館

      指揮:虎谷順一  演出:平尾力哉
       カルメン‥‥・・長内由起子
      ドン・ホセ‥…・高橋琢司
      エスカミーリョ‥須郷祐一
      ミカエラ…・・‥・中村純子

 平尾力哉さんの演出は足場を組んで布を張り、照明でセビリアの街にしたり、山の中にしたり、低予算で上手くいっているのではないでしょうか。
 全体的に合唱の動かし方がぎこちなく、あまり上手くいっていない印象。
 東京から招いた有名演出家にしては、期待はずれの仕上がりです。

 キャストではカルメン役の長内由起子さんが雰囲気が出ていました。
 プログラムにはキャストの紹介が全くないんですが、弘前大学教育学部出身の人妻らしい。

 僕には《カルメン》の演出で注目するポイントがいくつかあって、まずはカルメンがいつホセに目を付けるか。
 これはカルメンが「ハバネラ」を歌い終わると周囲が暗くなって、カルメンとホセの間に光の道が出来る趣向。
 《ウェストサイドストーリー》の映画のようなものでしょうか。
 これはいいんですが、ホセがカルメンに反応せず、いつまでも下を向いているのは変でしたね。

 もう一つの注目点は最後のカルメンがホセに刺される部分。
 歌い終わったカルメンは舞台奥の闘牛場へ静かに進み、闘牛場の入り口で待っていたホセはナイフを取り出してカルメンを刺し、カルメンはものも言わずに倒れ、照明が赤くなるという演出。
 これは迫力に欠けるものでした。
 二重唱の間にナイフを出して脅しておけば分かり安いし、カルメンが何の抵抗もせずに殺されるのは納得できませんね。

 演出で一番驚いたのは、第二幕「酒場の場面」で、ホセの上司であるスニガが密輸業者のダンカイロたちに射殺されてしまったこと (@o@)。
 プログラムには「スニガは取り押さえられ連れ出される」と書いてあるのに。
 隊長射殺犯の一味に見られては、ホセも密輸業者の仲間になるしか道はないでしょう。
 それなりに納得が出来るコンセプトかと思いましたが、しばらくは衝撃から立ち直れませんでした。

 オーケストラはいいところもあったし、合唱とズレる場面もあったし。
 アマオケにとってオペラのような長丁場は大変だから、いいところを評価しないとね。
 弘前市民会館はオケピットが深くて、オーケストラは立ち上がっても頭しか見えないバイロイト状態。
 オケもがんばったんだから、カーテンコールではバレンボイムのように舞台に上げるのはどうでしょうかね?

 第四幕の「闘牛士の入場」の場面で闘牛士は客席から現れたのですが、客席から手拍子が沸き上がって、アマチュア公演はいいものだと思いました。
 アマチュアにとって多大な経費がかかるオペラ公演を続けていくことは大変なことだとは思いますが、40年、50年と「弘前オペラ」の活動が続くことを願っております。

カーテンコール カーテンコール


 終演後は「あどはだり」(もう一度の意味)という居酒屋で、津軽三味線のライブを聴きました。

 
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