能演出によるオペラ 《ドン・ジョヴァンニ》 名古屋能楽堂
2000年6月28日(水)6:30PM 6月29日(木)6:30PM

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 名古屋能楽堂は名古屋城のそばにある、数年前に建った新しい建物。
 大変立派なものだが、使われることが少なく、赤字の垂れ流しで、最近では結婚式にも貸し出ししているとか (^_^;。

    能演出によるオペラ 《ドン・ジョヴァンニ》 名古屋能楽堂
     2000年6月28日(水)6:30PM Bキャスト
          6月29日(木)6:30PM Aキャスト

        指揮:松尾 葉子   演出:茂山 千之丞

                  Aキャスト     Bキャスト
       呑・女伴爾    :稲垣 俊也    澤脇 達晴
       伶附令流郎    :水谷 和樹(シングル)
       緞那・安娜    :松波 千津子   水谷 映美
       緞那・慧瑠美羅 :大久保幽香
       呑・乙多美雄  :笠井 幹夫    神田 豊壽
       津恵琉悧奈   :浅香 真理子   水谷 朋子
       馬絶徒      :松下 伸也(シングル)
       騎士長      :小栗 久和    川口 豊

       語り:外山文孝/松川佳澄

 指揮の松尾さんは、振り袖に袴姿で現れ、指揮台の上でたすきがけ (^_^) 。
 振り袖というほど袖は長くはないか‥‥なんて言うの?
 まず、この松尾さんのきびきびした音楽が良かった。

 中でも書いておきたいのが、『ドン・ジョバンニのセレナード』。
 この曲の前奏と間奏には、舞台に現れた琵琶が一緒に演奏する。
 これが、音色も音程も全く合っていないの (^_^;。
 しかし、それを十分承知で、それでも琵琶を使う松尾さんのアイディアが素晴らしいじゃないか (^_^) 。

 演出の茂山千之丞さんは1923年生まれで、紫綬褒章を受章しているというから有名な人なのかな?

 舞台装置は表が白、裏が黒の屏風だけ。
 裏の黒は夜を象徴しているわけだ。

 キャストの服装は、歌舞伎風あり狂言風あり。
 彼らの動作は能様式に従い、かなり制限されたものとなっている。
 歩き方、走り方から、もう能様式 (^_^) 。
 イタリア語上演で字幕なしだが、時々語りが現れて、それなりに物語が分かるようになっている。

 中でも地獄落ちの場面を紹介しておこう。
 花道(じゃないよな。能舞台では何て言うの?)から現れる騎士長は、鏡獅子のヘアスタイルで般若の面。
 これでこそ亡霊の怖ろしさも表現できるというものだ。
 この場面のための能演出だったのか!

 騎士長の声はマイクで増幅され、ドン・ジョヴァンニが腕を捕まれると照明で舞台が燃え上がり、怖ろしいばかりの迫力だ。
 ほとんどお金をかけずに (^_^;、これだけの場面を作り出した演出には衝撃を受けた。

 この公演はオペラ《ドン・ジョヴァンニ》の本質を損なうことなくジャポネスクに移し替えることに成功しており、素晴らしいものだと思った。 
 ぜひオペラの本場、ヨーロッパに紹介していただきたいものだ。
 絶対受けると思うし、費用もかからなさそうだし (^_^;。
    
 
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