創作オペラ 《二十六人の殉教》 名古屋公演
 2000年9月30日(土)2:00PM 名古屋市芸術創造センター

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 1997年、26聖人の殉教400年祭に際し、カトリック長崎教区によって制作された創作オペラ《二十六人の殉教》を観てきました。
 1597年(慶長元年)2月5日、豊臣秀吉の命によって長崎で十字架に磔にされた26聖人の中には、尾張の人が5人、伊勢の人が5人いたんだそうです。

    創作オペラ 《二十六人の殉教》 名古屋公演
 2000年9月30日(土)2:00PM 名古屋市芸術創造センター

     脚本:田中澄江  作曲:新垣壬敏
     指揮:黒岩英臣  演出:村松英子
     名古屋ムジークフェライン管弦楽団

 ルイス・フロイス:澤脇達晴  豊臣秀吉:稲垣俊也  寺沢半三郎:滝沢 博
 ペトロ・バプチスタ:井原義則  フランシスコ・ブランコ:野村富昭
 ゴンザロ・ガルシア:安田 健  フェリッペ・デ・ヘスス:小山陽二郎
 パウロ三木:鏑木勇樹  ヨハネ五島:山田正丈  ルドビコ茨木:水谷朋子
 以下略 (^_^;

 脚本の田中澄江さんはクリスチャンで、本年3月に逝去され、このオペラが彼女の遺作となった。
 作曲の新垣さんは国立音大卒で、典礼音楽の著名な作曲家なんだそうだ。

 指揮者の黒岩さんは(何度も我がオケを指揮してもらったことがある)元修道士ということで、この作品には適任者。
 名古屋ムジークフェライン管弦楽団は、僕も昔エキストラで出たことがある、アマチュアオーケストラ。

 会場は満席で、当日券は立ち見のみ(3000円)。
 カトリック教会関係者が集まったのであろう、信仰度の高い客席であった。

 開演前に演出の村松英子さんの解説あり。
 僕は一階席の後ろに立っていたんだが、開演後照明が暗くなったら、村松さんが隣にやって来た (@o@)。
 しばらくすると彼女には椅子が出たが、僕は立ったまま (^_^;。

 新垣さんの音楽は、ミュージカル《キッチン》に較べると、はるかに分かりやすい音楽。

 処刑された修道士がフランシスコ会だったというのは意外だった。
 日本に来たのはイエズス会だけだと思い込んでいたから。

 処刑を担当した長崎奉行代理寺沢半三郎は、かつての友人パウロ三木や12歳、13歳の子供を処刑することに悩み苦しむ。
 彼の気持ちには同情を禁じ得ない。

 しかし、26聖人の方は『神の御国に行けて幸せです』の一点張り。
 死を前にしての恐怖とか、家族への惜別の念とか、人間としての心の動きがもっとあっても良いのではないか?

 だが、考えてみればカトリック教会により制作され、関係者全てがカトリック教徒というこのオペラに、それを望むのは無理だったかもしれない。
 26人は聖人なんだからね、人間的な悩みがあってはいけないわけだ。

 ということで、この作品は『カトリック教徒によって作られ、カトリック教徒が感激するオペラ』と言って良いだろう。
 終演後の観客の熱狂はなかなかのものであった。
 
 
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