ブダペスト祝祭管弦楽団演奏会 & ユンディ・リ(李雲迪)
02年7月7日(日) 愛知芸術劇場コンサートホール

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 2002年のショパンコンクールで優勝したユンディ・リ(李雲迪)が、コンクールで弾いたショパンの「ピアノ協奏曲第1番」を演奏するというので、ブダペスト祝祭管弦楽団の演奏会に行って来ました。

 イヴァン・フィッシャー指揮するこのオーケストラは、前回2000年の来日公演で高い評価を受けており、こちらにも興味がありました。
 「一粒で二度おいしい」演奏会でしょうか (^_^) 。

 会場入り口で驚いたのは当日券があったこと。
 7月28日(日)に予定されているソロリサイタルのチケットはソールドアウトと聞いていましたから。

 僕なんかはオーケストラも付いていた方がお得だと思うんですが、ファンから見ればオケは邪魔者なんでしょうか (^_^;?

          『ブダペスト祝祭管弦楽団演奏会』
   02年7月7日(日)4:00PM 愛知芸術劇場コンサートホール
     指揮:イヴァン・フィッシャー  ピアノ:ユンディ・リ(李雲迪)

     1)ヴェルディ  《運命の力》序曲
     2)ショパン   『ピアノ協奏曲第1番』
     3)ドヴォルザーク『交響曲第9番・新世界より』

 最初の《運命の力》序曲で驚いたのは、木管楽器の首席奏者が指揮者のすぐ前に座っていたこと (@o@) 。
 僕も多くのオーケストラを見てきましたが、こんな場面は初めてです。

 僕のアマオケ経験から考えれば、このような配置にはメンバーから強い抵抗があったはずで、それを押し切るフィッシャーには独裁者のような強い力があるのでしょう。

 演奏については、このオケには所々弱いパートがあると観察されました。

 そして、いよいよユンディ・リの登場だ。長身やせ形で少しキムタクに似ているでしょうか?
 1982年10月7日重慶生まれ。コンクール中に18歳になったとのこと。

 ショパンコンクールは5年ごとにワルシャワで開かれていますが、ここ2回は優勝者なし。
 ユンディ・リは1985年のスタニフラス・ブーニン以来15年ぶりの優勝者となります。

 ということで、ついついブーニンと較べてしまうんですが、ユンディ・リの音楽はブーニンに較べれば、ずっと素直なもの。
 ブーニンはよく言えば「やんちゃ坊主」、率直に言えば「勝手気まま」な演奏でしたからね。
 音はブーニンの方がキラキラきらめいていたと思うけれど。

 ひと昔前は「ショパンの演奏はポーランド(ヨーロッパ)人に限る」というような本場崇拝主義があったと思いますが、ユンディ・リの演奏を聴いていると「音楽のユニバーサル化」ということをつくづく感じます。

 彼は中国から外へ出ることなく、中国人教師(ダン・ツァオイ)の指導によって、ショパンコンクールに優勝したのです。
 CD、ビデオ、放送などにより、世界の地域差はなくなっており、才能はどこからでも現れる時代になったのです。

 フィッシャーとの共演は日本が初めてで、7月5日(金)の新潟に続く2回目の共演。
 微妙なテンポの動きに、お互い上手くあわせていたと思いますね。

 例の楽器編成、この曲ではホルン2人、ファゴット2人が最前列に並んでいて、これまたビックリ (@o@) 。
 ソロアンコールの「チャイニーズ・ピース」も洒落た魅力的な曲で、CDが出たら購入したいものです。

 メインの『新世界より』は、完全にフィッシャーの手の内に入った音楽でした。
 楽器編成は「イングリッシュホルンを前に出すのか?」と興味津々だったんですが、この曲はオーストドックスに弦楽器の後ろに各パート並んでの演奏です。

 この『新世界より』は聴いていると次々と美しいメロディーが出てきて、なかな聞きやすい曲なんですが、実際オケで演奏してみると、様式的な美しさに欠ける、少し崩れた曲かと思われました。

 アンコールはチャイコフスキー《クルミ割り人形》の『パ・ドゥ・ドゥー』。
 チェロの1プルット目の内側の奏者が、派手な動きで気に入りました。
 
 
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