二期会創立50周年記念公演 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》
2002年7月28日(日)1:00PM 東京文化会館

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◇ ニュルンベルクのマイスタージンガー(7/28)

 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》は最も上演時間の長いオペラの一つでしょう。
 本日は1時開演で、第1幕・90分、休憩25分、第2幕・55分、休憩50分、第3幕120分で、終演時間は7時近くでした。

 そのためもあるのでしょう、日本での上演機会は少なく、僕は10数年前のバイエルン国立歌劇場名古屋公演以来、2回目の観劇となります。

 この日、新国立劇場の《蝶々夫人》は皇太子殿下御夫妻、小泉首相が観劇されたそうで、ちょっとかないませんね (^_^;。

   二期会創立50周年記念公演《ニュルンベルクのマイスタージンガー》
     2002年7月28日(日)1:00PM 東京文化会館

          指揮:クラウス・ペーター・フロール
          演出:クルト・ホレス

            ハンス・ザックス:黒田 博
          ファイト・ポーグナー:長谷川顕
      ジクストゥス・ベックメッサー:萩原 潤
  ヴァルター・フォン・シュトルツィング:田中 誠
                ダーフィット:小貫岩夫
                  エーファ:林 正子
               マグダレーネ:堪山貴子

 ベルギー王立歌劇場モネ劇場との提携公演だそうですが、このクルト・ホレス演出は1985年という古いプロダクション。
 僕にはわざわざ提携するほどの演出とは思えませんでした。
 まあ、交渉事には難しい内部事情もあるんでしょうが。

 舞台装置が質素なのは構わないんですが、第2幕の最後やフィナーレの歌合戦の場など、群衆場面の処理に問題がある印象を持ちました。
 誰が何をしているんだか分からない (^_^;。

 しかし、今ヨーロッパで流行りの「演出家の勝手気まま」という演出ではなかったので、まあ良しとしましょう。
 「有名なモネ劇場の《マイスタージンガー》はこんなものか」ということを知ることが出来ましたし。

 クラウス・ペーター・フロールの指揮は、あまり特徴のないものでした。
 これだけの大作を大過なく振り切れば上出来、ということでしょうか。

 キャストは日本人だけでこれだけのレベルの歌を揃えていただければ、不満は言いますまい。
 ザックスの黒田さんは「バングロス先生(キャンディード)、立派になられましたね (^_^) 」という感じ。
 ベックメッサーの萩原さんは儲け役だったでしょうか。
 ヴァルターの田中さんは、最後がちょっとハラハラしました。

 しかしこのオペラは単に長いだけではなく、だらだらとした説明の場面が多く、かといって美しいアリアがあるわけでもなく、じっと我慢している時間が多い。
 それでも最後には「見て良かった (^_^) 」と心から拍手できるのはどうしてか、自分でも不思議に思っていました。

 そうしたら、プログラムの作品ガイドに「それは、観客がエーファやヴァルターととともに、またザックスやポーグナーとともに、同じ時間を共有し、人生を歩んだ気持ちになるからだろう」と書かれていて、「なるほど!」と納得しました。
 この作品ガイド(押尾愛子さん)は11ページもある大作ですが、実に優れたものだと感服いたしました。

 2幕と3幕の間に50分の休憩時間があるので、上野駅の2階にある「ぶんか亭」で食事をしました。
 考えることは皆様同じなのでしょう、入ったときはガラガラだったのに、あっと言う間に満席になってしまいました。

 お店のお姉さんとの会話
 「オペラの休憩時間が長いから、みんなやって来るんだよ」
 「昨日も、おかしな時間に満席になって不思議だったんですが、それで謎が解けました (^_^) 」
 「来週の土・日曜にも、同じ現象が起きるはずだよ」

 第3幕の開演時間になり、全員が劇場に移動した後、お店はまたガラガラになりました。