《アスペクツ・オブ・ラブ》 名古屋ミュージカル劇場
2002年9月14日(土)5:30PM

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◇アスペクツ・オブ・ラブ(9/14)

 98年8月に大阪で見てすっかり気に入ってしまった《アスペクツ・オブ・ラブ》が、やっと(9月8日から)名古屋ミュージカル劇場にやってきました。
 「行けるだけは行こう」という覚悟なんですが、仕事の都合や東京までオペラを観に行ったりして (^_^ゞ、やっと本日観劇することが出来ました。

       《アスペクツ・オブ・ラブ》 名古屋ミュージカル劇場
           2002年9月14日(土)5:30PM

            ローズ・ビベール:保坂 知寿
        アレックス・ティリンガム:石丸 幹二
         ジョージ・ティリンガム:光枝 昭彦
        ジュリエッタ・トラパーニ:大平 敦子
          マルセル・リチャード:味方 隆司
         ジェニー・ティリンガム:樋口 麻美
                 ヒューゴ:青山 祐士
                エリザベス:武 木綿子

 まず題名の《アスペクツ・オブ・ラブ》ですが、プログラムでも「愛をめぐるさまざまな局面」「愛の断面たち」「さまざまな恋模様」「愛のさまざま」などの訳がされています。

 まあ簡単にまとめれば、アレックスを主人公として、ローズ(恋人・女優)、ジョージ(叔父)、ジュリエッタ(彫刻家)、ジェニー(いとこ)の5人が織りなす、恋と嫉妬、三角関係、近親相姦一歩手前 (^_^;などの「さまざまな恋模様」がストーリーでしょうか。

 アンドリュー・ロイド=ウェッバー1989年の作品で、《オペラ座の怪人》(1986年)と《サンセット大通り》(1993年)の間に位置する作品です。

 アレックスとローズによって歌われる有名な「シーイング・イズ・ビリービング」のあたりまでは「二人とも声が疲れ気味だな」と冷静に見ていたんですが、物語が進むに連れて、どんどん引き込まれてしまいました。
 何よりロイド=ウェッバーの繊細なメロディーが美しいし、複雑な恋のもつれも興味深い (^_^;。

 石丸さん、保坂さん、光枝さんは、大阪公演と同じですが、まあ文句無し。
 これ以上のキャストは考えにくいですね。

 4年前の大阪公演と異なるキャストはジュリエッタとジェニー。
 大阪の井料ジュリエッタは貞淑で慎ましやかで、こんな都合のいい愛人がいるとは信じられませんでしたが、大平さんはけっこう遊んでいそうで (^_^;、こちらの方がジュリエッタのキャラクターだと思います。
 声は頭声と胸声に差がありすぎて、違和感があったけど‥‥。

 大阪の堀内ジェニーは女性的な体型だったけれど、ボーイッシュな樋口さんの方が少女から女性に移り変わる時期のジェニーには合っていると思いました。
 歌も演技も良かったのではないでしょうか。

 ストーリー的に納得できないのは最後の「エニシング・ロンリー」から。
 ジュリエッタと去っていくアレックスに、ローズが「行かないで!」などと情けないことを言うわけがないではありませんか。
 いずれアレックスが自分とジェニーのところに戻ってくることは分かっているんですから (^_^ゞ。

 本日のチケットはソールドアウトで、たいへん結構なことです。
 このように素晴らしい作品は出来るだけ多くの方に見ていただきたいから。
 僕はあと3回分チケットを確保しているんですが、ダブルキャストのジュリエッタとジェニーは別のキャストでも見てみたいものです。


◇アスペクツ・オブ・ラブ(9/18)

 今夜の入りは9割くらいでしょうか。
 キャストで16日と違ったのはジェニー役の中村有里子さん。
 樋口さんは少女に近く、中村さんは女性に近い、という印象でしょうか。
 少し声が鼻にかかっているのが気になりました。


◇アスペクツ・オブ・ラブ(9/28)

 《アスペクツ・オブ・ラブ》名古屋公演は明日が千秋楽なんですが、僕にとっては今夜が最後の観劇です。
 それだけに、ロイド=ウェッバーの美しいメロディーが心にしみました。
 これで当分この珠玉の傑作を見ることが出来ないかと思うと、残念です。

 本日の新しいキャストは、ジュリエッタの濱田めぐみさん。
 良かったですよ。
 「ゼア・イズ・モア・トゥ・ラブ」なんかゾクゾクしました。

 キャラクター的にはダブルキャストの大平さんの方が、派手で浮気っぽいジュリエッタ(原作ではジョージの結婚式に愛人同伴で出席する)に合っているかと思いましたが、ちょっと声がね。
 濱田さんはキャラクター的にはぎりぎりセーフ(独断)。
 大阪の井料さんはアウトだったな(独断)。

 ジェニーについては「樋口さんは少女に近く、中村さんは女性に近い、という印象」と書きましたが、少女に近い樋口さんの方が背伸びしているジェニーの健気さが感じられました(独断)。
 中村さんは、ちょっと鼻声が気になりました。


◇ 登場人物の年齢について

 このミュージカルは時間経過が難しいんです。
 CDでは、1947年に17歳のアレックスが、1961年に34歳になっている (^_^;。

 ジェニーの年齢については、第二幕の最初にローズはアレックスに「12年ぶりね」と言っています。
 それならジェニーは、どう考えても11歳以上ということはないでしょう。
 アレックスの子供になってしまうから (^_^;。
 まあ、CDには12歳と書かれていますがね。

 で12歳かと思ってみていると、ジェニーの15歳の誕生日になってしまいます。
 アレックスと踊っている間に3年経ったのでしょうか?

 ジュリエッタの年齢は、もっと不思議。
 ジュリエッタは最初のパリのシーンで、管理人からの電報を読んだ58歳のジョージに向かい『昔のあなたに似ているわ』と言っていますので、ジョージの若い頃を知るそれなりの歳かと考えられるわけです。
 一方17年後のジョージの葬儀で、ジュリエッタは34歳のアレックスを『同じ年ごろの女とは踊らないのかしら?』と誘っているので、年齢不詳の女性になってしまうんですね。

 物語最初の推定年齢を書いておきましょう。
 ミュージカルのCDと原作では微妙に違っていますが、アレックス17歳、ローズ23歳、ジェニー(−3歳)、ジュリエッタ20歳、ジョージはCDでは58歳と書かれていますが、原作では62歳になるはずです。

 原作では、物語の最後で、アレックス34歳、ローズ40歳、ジェニー14歳、ジュリエッタ37歳、ジョージは79歳になるはずです。
 
 
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