東京シティ・フィル オーケストラル・オペラV 『ニーベルングの指環』第二夜《ジークフリート》 2002年9月8日(日)午後3時開演 東京文化会館大ホール |
◇ジークフリート・東京シティフィル 飯守泰次郎さんが名古屋フィルハーモニー交響楽団の音楽監督をしておられた時代には、多くのワーグナー作品を上演していただきました。 中でも「さよならコンサート」となった《ワルキューレ》は我が最高のワーグナー体験の一つです。 ブリュンヒルデを閉じこめた岩山が真っ赤に燃え上がったフィナーレは、飯守さんの音楽と相俟って、素晴らしいクライマックスになり、カーテンコールの拍手・歓声はいつまでも続いていました。 その続編の《ジークフリート》が飯守さんの指揮で上演されるとなれば、これを見逃すことは出来ません。 僕は「時間の有効利用」をモットーにしておりまして、一昨日にオープンした新「丸ビル」にも行ってきました (^_^ゞ。 当然の事ながら、たいへん混雑しておりました。 今日の東京は暑かったです。 東京シティ・フィル オーケストラル・オペラV 『ニーベルングの指環』第二夜 《ジークフリート》 2002年9月8日(日)午後3時開演 東京文化会館大ホール 指揮:飯守泰次郎 演出:高島 勲 ヴィジュアル・アドヴァイザー:ヘニング・フォン・ギールケ ジークフリート:成田勝美 ミーメ:松浦 健 さすらい人:勝部 太 アルベリヒ:島村武男 ファーフナー:鹿野由之 エルダ:竹本節子 ブリュンヒルデ:緑川まり 森の小鳥の声:笠原由里 第一幕:90分 第二幕:80分 第三幕:90分 終演 8時10分 上演はセミ・オペラ形式とでもいうのでしょうか、オケピットから舞台前半にオーケストラが位置し、その後ろのステージで歌唱・演技がされます。 名フィル《ワルキューレ》と同じスタイルです。 ハープが6台あったのには驚きました。 ジークフリート役は、第一幕で父親の形見の剣ノートゥンクを鍛え上げ、第二幕で大蛇ファーフナーを倒し、第三幕第一場でさすらい人と対決して、第二場で十数年間眠り続けスタミナたっぷりのブリュンヒルデと長大な二重唱を歌う、という難役です。 成田さんはその重責を果たしたのではないでしょうか。 確かに譜面台を立てての歌唱でしたが、たった1回の公演のために暗譜を強いるのは、特にこの役では気の毒でしょう。 ミーメ役の松浦さんも譜面を見ながらの歌唱でしたが、譜面にしがみついていると僕には見えました。 声の質も狡賢いミーメには合っていないように思われました。 その他のキャストは暗譜で、さすらい人とアルベリヒの場面、さすらい人とエルダとの場面が、オペラらしく印象に残っています。 飯守さんの音楽は期待通りの素晴らしさ。 特にミーメのいない第三幕 (^_^;。 東京シティ・フィルはミスもありましたが、大健闘だったのではないでしょうか。 さすらい人との対決を終えジークフリートが岩山へ向かう場面転換の音楽とともに、ステージは赤く燃え上がります。 いよいよ名フィル《ワルキューレ》以来のブリュンヒルデに会えるかと僕の興奮も最高潮です そこに現れたのはタキシードを着たジークフリート (@o@) 。 いやな予感がしましたよ (^_^;。 彼はブリュンヒルデの鎧を脱がせたり接吻したりと歌うんですが、演技はしません。 というか、そこにブリュンヒルデがいないんです (>_<) 。 ブリュンヒルデは彼女の歌の直前に、舞台奥から白いドレスで登場します。 「プリマドンナはぎりぎりまでお休みですか?」と嫌みの一つも言いたくなるところですが、もちろん緑川さんの責任ではありません。 ジークフリートが譜面台を使ったために演技が出来なかったのでしょうか? それとも、高島さん本来の演出意図だったのでしょうか? いずれにせよ、大いに感興を削がれました。 その後はタキシードとドレスで、コンサートのようになってしまいましたが、飯守さんが創り出すワーグナーの世界は素晴らしい。 終演後の拍手・歓声は名フィル《ワルキューレ》を思い出させる熱狂的なものでした。 新国立劇場の《リング》も、バイロイトの《リング》も飯守さんに指揮していただきたいものです。 余談ですが、帰りの新幹線についてです。 新幹線が熱海駅で止まってしまいました (@o@) 。 三島・静岡間の大雨のため富士川鉄橋が規制値を越えたとの放送が入りました。 一時は車中泊も覚悟しましたが、58分おくれで運転再開。 何とか最終の地下鉄に間に合って、レポートもアップできましたので、まあ良しといたしましょうか (^_^) 。 |