二期会ニューウェーブオペラ劇場 《ポッペアの戴冠》
2002年10月6日(日)3:00PM  北とぴあさくらホール

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◇ 《ポッペアの戴冠》 BCJ

 鈴木雅明さん指揮のバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は世界最高のバロックアンサンブルだと、僕は評価しています。
 極東の日本にこのようなアンサンブルがあることは、ちょっとした奇跡です。
 その鈴木さんのオペラデビュー、それもお得意のモンテヴェルディということになれば、行かないわけには参りません。

          二期会ニューウェーブオペラ劇場
     クラウディオ・モンテヴェルディ作曲《ポッペアの戴冠》
         2002年10月6日(日)3:00PM
        北とぴあ(HOKUTOPIA)さくらホール(王子)
          指揮:鈴木雅明  演出:西澤敬一

 クラウディオ・モンテヴェルディ(1567〜1643)はヴェネツィアのサンマルコ寺院の楽長をしていた大作曲家で、1643年に初演された《ポッペアの戴冠》は彼の最後の作品であり最高傑作です。
 350年あまり前の作品なのに、何という生々しい人間ドラマが繰り広げられていることでしょう。

 ちなみに、同じヴェネツィアで活躍したヴィヴァルディは(1675〜1741)、バッハは(1685〜1750)です。

 紀元1世紀のローマ。
 皇帝ネロは人妻のポッペアと愛し合っている。
 ネロは邪魔者である哲学者セネカに自害を命じ、自分の妻オッターヴィアとポッペアの夫である将軍オットーネを追放し、ポッペアは后妃として戴冠する。
 何だかイヤなストーリーですね (^_^;。

 今回のセールスポイントは「アラン・カーティス版による日本初演」。
 1651年のナポリ上演で使用されたナポリ稿をベースにして、従来使われていたレパード版から、後から加えられた余分な部分を削ぎ落としたものだとか。

 削ぎ落とされたのはバイオリンやリコーダーのリトルネッロ。
 指揮者(チェンバロ演奏)から右の通奏低音はずっと弾きっぱなしなのに、指揮者から左に座るバイオリンやリコーダーはその10分の1も演奏していないでしょう。

 キャストは二期会の若手からオーディションで選ばれたそうで、それなりに充実したものでした。
 特にセネカ役の斉木健詞さんは、深みのある素晴らしいバスでした。

 西澤敬一さんの演出は、最初に出てくる幸運、美徳、愛の3人の女神が、舞台の袖から成り行きを見守っているというもの。
 2日に渡って美徳の神を演じた虎谷亜希子さんは最も長い時間(195分×2日)舞台にいた方でしょうが(歌は最初だけ)、その存在意味を感じることが出来なかったのはお気の毒でした。
 セネカ自害の場面で床が開いて、浴槽になったのは面白いアイディアでした。

 第一幕:90分、第2幕:60分、第3幕:45分 で、終演は6時45分。
 指揮者の鈴木さんに熱狂的な歓声が上がっていました。
 プログラムの礒山雅国立音楽大学教授の「観賞ノート」はモンテヴェルディの生没年を(1567〜1743)とするお粗末なもので、頭がクラクラしました (^_^;。

 僕はこのオペラを観るのは、今回が2回目です。
 1回目はパーセル・プロジェクト(八幡市)によるレベルの高いものでしたが、その時には僕の人生で再びこのオペラを観ることが出来るとは夢にも思いませんでした。
 それが、来年の1月には関西二期会の公演があるんですね (@o@) 。
 演出は中村敬一さんなんだそうで、僕は人生に3回このオペラを観ることになるのでしょうか (^_^) ?