ミュージカル 《 モーツァルト!》
2002年11月9日(土)5:30PM シアター・ドラマシティ

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◇ モーツァルト!(11/9)

 1996年8月のウィーンで見た《エリザベート》は、練り上げられた台本(クンツェ)・演出(クプファー)、そして美しいメロディーに溢れた音楽(リーヴァイ)による素晴らしいミュージカルでしたが、日本公演は小池修一郎の改竄によりズタズタにされ、見るに耐えない代物(僕にとって)になってしまいました。

 ミレニアムのウィーンで見た《 モーツァルト!》は、《エリザベート》と同じ製作スタッフの作品とは思えぬ出来の悪い代物でした。
 《アマデウス》の二番煎じで不必要な場面が多い台本、魅力的な旋律に乏しい音楽、大がかりな装置を無意味に上げ下げする演出。

 セールスポイントは、モーツァルトをヴォルフガングとアマデ(子供・黙役)に分けたことらしいんですが、一人の人物を二つに分けるのはオペラの演出ではよく見る、もはや手垢の付いた発想といえましょう。

 ということで、「この出来の悪いミュージカルが小池氏の改竄により少しはまともなものになるのだろうか?」という不埒な興味 (^_^ゞ で大阪まで行って来ました。

         ミュージカル《 モーツァルト!》
        2002年11月9日(土)5:30PM
           シアター・ドラマシティ

     ヴォルフガング・モーツァルト:井上芳雄
                アマデ:内野明音
            コロレド大司教:山口祐一郎
       レオポルト・モーツァルト:市村正親
     ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳
            コンスタンツェ:松たか子
              ナンネール:高橋由美子

 やはり構成に問題がある、出来の悪い作品だとの感想は変わりません。
 装置はウィーンよりかなり安上がりと見ましたが (^_^;、この作品にはこんなもので良いでしょう。

 しかし、キャストはなかなかのものでした。
 モーツアルト役はかなり喉に負担がかかる役と見ましたが、井上さんはクラシック出身とは思えぬ歌声でシャウトしていました。

 久しぶりに聴く山口祐一郎さんの歌声は、相変わらず素晴らしい。
 この作品にはカットすべき場面が多いと思うんですが、その場合でもコロレド猊下の場面は残してほしいな‥‥と (^_^ゞ。
 それから、松たか子さんの歌唱力にも驚きました。

 モーツァルトを主人公にしたミュージカルでは、やはり《マドモアゼル・モーツァルト》が抜群でしょう。
 小室哲哉さんに全曲完成していただいて、ウィーンで上演していただきたいものです。