フェルッチョ・ブゾーニ作曲 《トゥーランドット》
2002年11月17日(日)2:00PM ザ・カレッジ・オペラハウス

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           20世紀オペラシリーズ
      フェルッチョ・ブゾーニ作曲《トゥーランドット》
          ドイツ語上演・日本語字幕

          2002年11月17日(日)2:00PM
        大阪音楽大学 ザ・カレッジ・オペラハウス

          指揮:阪 哲朗  演出:井原広樹

             アルトゥム:松下雅人
          トゥーランドット:小西潤子
              アデルマ:田中友輝子
               カラフ:小餅谷哲男
       トルッファルティーノ:西垣俊朗

 《トゥーランドット》といえば勿論プッチーニの最後のオペラが有名なんですが、今回上演されたのはイタリアの作曲家フェルッチョ・ブゾーニ(1866〜1924)により、ドイツ語で作曲された珍品です。
 ブゾーニは大ピアニスト、バッハ作品の編曲者として有名ですが、4つのオペラを作曲しているそうです。
 ブゾーニの《トゥーランドット》は1977年に東京室内歌劇場によって上演されましたが、本格的なフルオーケストラとしての上演は今回が日本初演になるそうです。

 カルロ・ゴッツィ(1720〜1806)の原作は伝統的な即興仮面劇で、ブゾーニは原作に忠実にオペラ化しているそうです。
 この作品は1905年にベルリンで戯曲として上演され、ブゾーニは付随音楽を作曲しました。
 このベルリン上演をプッチーニが見たそうです。

 その後ブゾーニはこの作品をオペラ化し、オペラとしての《トゥーランドット》はプッチーニのオペラに先立つこと7年、1917年にチューリッヒで初演されました。

 プッチーニ以前の作品ということで、「20世紀オペラシリーズ」としては分かりやすい音楽でした。
 耳に残るメロディーはありませんでしたが、なんだか前進力のある音楽でしたね。

 ストーリーとしては、絶世の美女トゥーランドット姫に対する王子カラフの求婚と3つの謎解きという御存知の話に、仮面劇の登場人物が絡んで進行します。
 《ナクソス島のアリアドネ》みたいなものでしょうか。
 その中ではトルッファルティーノというオカマ(宦官)が、やけに存在感がありました (^_^;。

 3つの謎の答えは「理性・道徳・芸術(記憶があやふや (^_^;。
 プッチーニの作品では「希望・血潮・トゥーランドット」ですね。

 「名前当て」ではトゥーランドットは侍女のアデルマから彼の正体を聞き、「彼の名はカラフ、ティムールの息子」と言い放ちます。
 破れてその場を去ろうとするカラフに姫は「待って、カラフ!」と呼びかけ、彼に対する愛を歌い上げるんです。
 この方が、プッチーニの作品より納得できる話の流れです。
 
 井原広樹さんの演出は抽象的なものでした。
 特別なアイディアのあるものではありませんでしたが、《パルジファル》の高島さんのような、人の気持ちを逆なでするようなものでなかったのはホッとしました (^_^ゞ。

 阪哲朗さん指揮するオペラハウス管弦楽団は、レベルが高いオーケストラだと思いました。
 厳慶谷さんの踊り(京劇)は、なかなか妖しかった (^_^) 。

 何はともあれ、例年通りの気持ちの良い上演で、初めてのオペラを楽しませていただき、関係者に感謝したいと思います。