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◇ジュゼッペ・タッデイ(3/30)

 1997年に「NHKニューイヤーオペラコンサート」に80歳で出演し、2000年、2001年と名古屋でリサイタルを開いた『世紀の名バリトン』ジュゼッペ・タッデイ。
 僕は毎回、「これが最後の機会か?」と思って通っていますが、今回もまた「これが最後の機会か?」と思って (^_^ゞ、コンサートに行って来ました。

   ジュゼッペ・タッデイ・コンサート
   2003年3月30日(日)5:00PM
   愛知芸術劇場コンサートホール

 今日は快晴で、桜見物にドライブしたら渋滞に巻き込まれまして、会場に到着したのは6時半。
 開演後1時間半を過ぎており、聴けるのはアンコールだけかと覚悟しておりましたが、なんと! まだ第一部の途中でした (@o@) 。
 コンサートが終わったのは、結局8時半でした。

 ジュゼッペ・タッデイは1916年生まれというから、マリア・カラスよりも年上。
 87歳かな? 米寿も間近でしょうか。
 ステージへの登場は女性歌手に支えられてでしたが、興が乗ると自由に動き、不自由さを感じさせません。
 声は、弱音のコントロールに少々難はありましたが、朗々と響く声で、年齢を抜きにして、実に立派なものです。

 第一部:《ドン・パスクァーレ》(ドニゼッティ)
     《ドン・ジョヴァンニ》(モーツアルト)
 第二部:《蝶々夫人》(プッチーニ)
     《愛の妙薬》(ドニゼッティ)

 一番素晴らしかったのは《蝶々夫人》第二幕。
 ピンカートンから「アメリカ人の妻と結婚した」という手紙を受け取った領事シャープレスが、蝶々さんを説得に来る場面です。
 小さいテーブルと椅子を置いただけの舞台でしたが、蝶々さん(小林史子)、シャープレス(タッデイ)、ピアノ(マルコ・ボエーミ)、三者相俟っての迫真の舞台には、いたく心を打たれました。

 特に蝶々さんを思いやり慈しむタッディの優しさには、初めてこの場面の持つ意味と素晴らしさを教えてもらいました。
 舞台中央の扉が開いて、蝶々さんの子供が飛び出してくる場面は衝撃的で、シャープレスの驚きが、そのまま伝わってきました。

 タッデイがその力を見せつけたのは、もちろん十八番の《愛の妙薬》。
 米寿のドン・ジョヴァンニは違和感があるけれど、いかさま師のドゥルカマーラは何歳でもいいでしょう (^_^) 。

 それから特筆しておきたいのが、ピアノのマルコ・ボエーミ。
 歌手は入れ替わりだけれど、彼は弾きっぱなしですからね。
 練習時間も考えると‥‥ (@o@) 。
 ボエーミは先日の《仮面舞踏会》の指揮者でもありますが、タッデイが怪しいところは、ピアノを弾きながら指示を出していました。
 さすがオペラハウスの叩き上げ。
 その音楽性も素晴らしく、言うこと無しですね。

 カーテンコールは3曲。
 《愛の妙薬》のフィナーレと、『忘れな草』と、メロディーは知っているけれど名前は思い出せない曲 (^_^;。
 例年通りの盛り上がりでしたが、さて、次回はあるのでしょうか?