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◇ 名古屋二期会《カルメン》(9/15)

        名古屋二期会オペラ定期公演
      ビゼー作曲 歌劇《カルメン》全四幕
      2003年9月15日(月・休)2PM
         愛知芸術劇場大ホール

       指揮:大勝秀也  演出:松本重孝
       演奏:名古屋二期会オペラ管弦楽団

          カルメン:東川恭子
         ドン・ホセ:小山陽二郎(客演)
       エスカミーリョ:石川保
          ミカエラ:加川文子

 松本さんの演出は、舞台の回りを闘牛場の座席が取り囲んでいるもの。
 しかし第三幕は布をかけて山奥らしい雰囲気を出すなど、《ジョコンダ》(首都オペラ)のような手抜きはありません。
 多くの群衆が泉が湧くように自然に舞台に出てくるのを見ていると、やはりベテランの技だと感心してしまいます。
 面白かったのは第四幕。
 舞台を囲む座席には観衆が座り、闘牛士が勝つと、沢山の薔薇が投げ込まれます。
 本来は闘牛場の外で歌われるホセとカルメンの二重唱は闘牛場の中央で歌われます。
 つまり、闘牛場の中央は場外、座席は闘牛場の中、という不思議な空間になっていました。
 この部分の合唱は舞台裏で歌われることが多くて盛り上がりに欠けると感じることもあるんですが、この松本演出は一つの解決方法かと思いました。

 指揮の大勝さんはヨーロッパのオペラハウスやオーケストラで活動している方だそうで、いいんじゃないでしょうか。
 オーケストラは正体不明なんですが、県芸関係者のオーケストラでしょうか?
 技術的レベルは高いと思いましたが、時々おかしいところもありました。

 この一週間で堺、横浜と市民オペラを聴いてきましたが、名古屋が一番レベルが低いように聞こえました。
 これは会場の大きさが関係しているかもしれません。
 カルメン役は迫力不足で、《椿姫》のヴィオレッタみたい。
 「ハバネラ」で半小節早く飛び出すハプニングがあって、一生に何度もない機会にこのようなケアレスミスをするとは、気の毒なことでした。

 二幕と四幕の前に、東仲一矩(ひがしなかかずのり)さんのフラメンコが延々とあって、この人は達人かと思いました。