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◇ 《シチリアの夕べの祈り》

 びわ湖ホールでは、毎年ヴェルディのオペラの日本初演を行っています。
 今年は《リゴレット》《トロヴァトーレ》《椿姫》の後、1855年に初演された《シチリアの夕べの祈り》の日本初演です。
 昨年の《エルナーニ》は空席が目立ったのですが、今年は満席で、ビックリしました。
 ロビーからの琵琶湖の眺めは絶景ですが、残念ながらこの日は雨でした。

       《シチリアの夕べの祈り》
     2003年11月29日(土)2PM
        びわ湖ホール・大ホール

     指揮:若杉 弘  演出:鈴木敬介
 モンフォルテ(フランスのシチリア総督):直野 資
     エレナ公女(前シチリア王の妹):横山恵子
     アルリーゴ(公女を愛する若者):水口 聡
      プローチダ(独立運動の志士):小鉄和広

『シチリアの晩鐘』
 1282年3月30日復活祭の月曜日、フランス王の叔父アンジュー伯シャルルの圧制下にあったシチリアで、晩鐘を合図に島民がフランス兵を虐殺し、結果的に四千人ものフランス人が殺されたという事件。
 この歴史的事実から言えば、オペラの題名は《シチリアの晩鐘》が適切なのでしょう。
 オペラでも、ポイントは「祈り」ではなく、結婚式の「鐘の音」でした。

 ヴェルディのオペラは支離滅裂なストーリーが多いのですが、この作品は比較的不満が少ないものでした。
 仇のはずのモンフォルテとアルリーゴが実は親子だったという、とんでもない設定を受け入れられればね (^_^) 。
 音楽も魅力的だし、もっと上演されても良い作品なのではないでしょうか?

 音楽的には例年通りのレベルの高い仕上がりで、中でも横山さんのドラマティックソプラノが気に入りました。
 円形劇場のセットを使った演出は可もなく不可もなく、まあ適切なものでした。
 しかし、女性プロンプターの声には困りました。
 山びこの反対現象が、3階最後列でもよく聞こえるんです。
 「よほど暗譜が出来ていないのか?」というロビーの声もありました。

 京都行きの列車は事故があって到着が遅れ、すさまじい大混雑となりました。
 来年の演目は《十字軍のロンバルディア人》です。