ミュージカル 《ミス・サイゴン》
2004年8月29日(日) 帝国劇場

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◇ミス・サイゴン(04/8/29)

 《ミス・サイゴン》は『ベトナム版・蝶々夫人』。
 僕はこのミュージカルが大好きで、1992年の日本公演には東京まで何度も遠征したものです。
 蝶々さん役のキムや、キムに撃ち殺されるトゥイが気の毒で、クロード=ミシェル・シェーンベルク(十二音音楽のアーノルド・シェーンベルクの兄の孫かな)の美しい音楽と相まって、泣ける泣ける。
 また、最新の舞台装置を駆使したニコラス・ハイトナーの演出は、「サイゴン陥落」などの群衆シーンが素晴らしい。

 ロンドンやニューヨークの舞台も見ましたが、特にニューヨークでは「この劇場にベトナム戦争に従軍した元アメリカ兵や、命がけで海を渡ってきたボートピープルが居るかもしれない」という生々しさに、異様な感動を受けました。

 ロンドンやニューヨークの公演がクローズしてしまい、世界中どこへ行っても、もうこのミュージカルを見ることが出来ないのかと残念に思っていましたので、今回の再演は嬉しい限りです。

          ミュージカル《ミス・サイゴン》
         2004年8月29日(日) 帝国劇場
             12:30     17:15
     エンジニア: 別所 哲也   筧 利夫
       キ ム: 新妻 聖子   松 たか子
       クリス: 井上 芳雄   石井 一孝
       ジョン: 坂元 健児   今井 清隆
       エレン:  A N Z A    石川 ちひろ
       トゥイ: 泉見 洋平   泉見 洋平
       ジ ジ: 高島 みほ   平澤 由美

 今回の再演はキムとエンジニアが4人いるクアトロキャスト。
 他のキャストもトリプルやダブルキャスト。
 地方在住では全員制覇するのも大変です。

 右手にハンカチ(泣くから (^_^ゞ)、左手にオペラグラスの観劇でしたが、全体的に、初演に較べると薄味のような気もしました。
 以下はキャストの印象です。

エンジニア:
 筧さんのエンジニアは役になり切っていて、期待以上の出来。
 『釣りバカ日誌15』では、地味な秋田の水産研究所員だったのに‥‥。
 別所さんは無理をしている印象でした。

キ ム:
 松たか子さんは大物すぎて、田舎から出てきた17歳の少女には見えませんでした。
 新妻さんのアリア『命をあげよう』は素晴らしかったですね。

クリス:
 井上さんはアメリカ兵にはノーブルすぎて、やはり《エリザベート》のルドルフ皇太子の方が合っているでしょう。
 石井さんは良かったですね。

ジョン:
 ジョンは坂元さんが良かった。
 今井さんは初演の時もこの役を演じており、12年も経っていてはクリスの友人として歳を取りすぎているでしょう。

エレン:
 A N Z Aさんは西川ヘレン風のルックスで、年上に見えてしまいました。

トゥイ:
 泉見洋平さんは良かったですね。
 このベトナム人の若者はベトコンとなって国のために戦いながら、親が決めた許嫁だったキムのことを愛し続けている、純粋な人間。
 新政府の高官となり、愛するキムと暮らせると胸を高鳴らせてやってきたのに、キムには子供(タム)がいた。
 「この子供を他人に見られてはいけない」、とっさにそう考えた彼はタムに刀を振り上げ、そしてキムに撃ち殺されちゃうんですね。
 天国から地獄へ‥‥彼の気持ちを思うと泣けます。
 
 
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