三枝成彰 歌劇 《Jrバタフライ》より
05年7月29日(木)6:30PM

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 僕はミュージカル《ミス・サイゴン》(ベトナム版蝶々夫人)が大好きで、1992年の日本初演には、何度も東京に遠征しました。
 その頃、三枝成彰さんが週刊朝日のコラムに、「《ミスサイゴン》程度の音楽は、自分ならいつでも作曲できる」と書いているのを読んで、目が点になりました。
 それ以来ずっと、「それなら証拠を見せて欲しい」と思っております。

      ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ
          三枝成彰 歌劇 《Jrバタフライ》より

          2005年7月29日(金)6:30PM
          愛知芸術劇場コンサートホール

       指揮:大友直人     JB:佐野成宏
       ナオミ:佐藤しのぶ シスター:並河寿美

 歌劇《Jrバタフライ》は2004年4月6日に東京文化会館で初演された三枝成彰のオペラ最新作。

 1941年、アメリカで成人した蝶々さんの息子ジュニアバタフライ(JB)は、アメリカ戦時情報局の職務で神戸に赴任している。
 JBは日本人女性ナオミと結婚し、やがて息子も生まれる。

 しかし、太平洋戦争が始まるとJBは収容所に入れられ、ナオミは息子を連れてJBの母である蝶々さんの街、長崎でJBを待つことになる。
 終戦後に長崎を訪れたJBは、被爆し瀕死の状態のナオミと再会するが、ナオミは息絶える。

 三枝さんの音楽はプッチーニをなぞったものでしょうが、どうも今の時代の作品としては古くさく、居心地が悪い。
 致命的なのはプッチーニほどの、そして《ミスサイゴン》ほどの、メロディーの美しさに欠けること。
 「口ほどにもない」という言葉が頭に浮かぶのはやむを得ないでしょう。

 しかし、この作品は来年ルッカで開かれる『プッチーニ音楽祭』で上演されるんだそうです。
 このような三枝さんの実力者に取り入る才能を、僕は「日本のワーグナー」と言っているんですが、「それはワーグナーに失礼だ」という批判を浴びたりもします (^_^;。
 
 
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