マリインスキーオペラ 《ホヴァーンシチナ》
 2008年1月27日(日)2:00PM 東京文化会館

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 チケット代が高い外来オペラ公演は目がワープしてしまうんですが、《ホヴァーンシチナ》を観る機会は一生一度かもしれません。
 いつものように全くの予習なしで出かけましたが、会場前の2時開演、終演予定時間6時10分という掲示にはびっくりしました。
 ムソルグスキー未完のオペラだというので短いオペラだと思っていましたが、全5幕という超大作。
 休憩時間にプログラムのあらすじを読みながらの観劇でしたが、ストーリーはよく分かりませんでした (^_^ゞ。

 モデスト・ムソルグスキー(ショスタコーヴィッチ版)
   マリインスキーオペラ《ホヴァーンシチナ》
 2008年1月27日(日)2:00PM 東京文化会館

指揮:ワレリー・ゲルギエフ 演出:レオニード・バラトフ

イヴァン・ホヴァーンスキー公(銃兵隊長官)
             :アレクセイ・タノヴィツキー
アンドレイ・ホヴァーンスキー公(その息子)
             :エフゲニー・アキーモフ
ワシーリー・ゴリーツィン公
             :アレクセイ・ステブリャンコ
シャクロヴィートゥイ(大貴族)
             :ヴィクトール・チェルノモルツェフ
ドシフェイ(分離派教徒の長)
             :ゲンナジー・ベズズベンコフ
マルファ(分離派教徒)
             :ズラータ・ブルイチェワ
代書屋         :ワシーリー・ゴルシコーフ
エンマ(ドイツ人居住区の娘)
             :タチアーナ・パヴロフスカヤ

 このオペラは権力争い、宗教問題、恋愛をとりまとめ、「ロシア版大河ドラマ」を見るような重厚な歴史劇となっていました。
 『ホヴァーンシチナ』とは第2幕に出てくる台詞、ピョートル大帝が反逆者ホヴァーンスキー一族を『ホヴァーンシチナ(ホヴァンスキーの奴らめ)』と呼び捨てた蔑称だとか。

 銃兵隊長官イヴァン・ホヴァーンスキー公(分離派教徒)は(本物の)馬に乗って颯爽と現れ、民衆の歓呼に迎えられる。
 息子のアンドレイはドイツ娘エンマを手籠めにしようとするが、修道女マルファに止められる。
 マルファはかつてアンドレイに捨てられたが、今でも彼のことを愛している。

 宮廷内の争いにより、ホヴァーンスキー公は第4幕第1場で暗殺される。
 ピョートル大帝が分離派の討伐に乗り出し、分離派一同は殉教を覚悟する。
 この期に及んでも、アンドレイは「エンマはどこだ」と叫んでいる。
 そして分離派一同は、松林の中に佇む修道院に火を放ち、集団殉教する(第5幕)。

 ソフィア皇女とピョートル大帝という戦いの中心人物が登場しないため、誰が主役というわけでもなく、個別のエピソードの連続で、はっきりしたストーリーも分からなくなっているわけです。
 しかしムソルグスキーの音楽が魅力的で、分散的なストーリーを救っています。
 ショスタコーヴィッチのオーケストレーションも現代風ではなく、ムソルグスキーの音楽になっていました。

 上演はまったく素晴らしいものでした。
 スケールの大きい正統的な舞台で、歌手は脇役に至るまで充実しています。
 正直な話、歌手が多すぎて、一人一人を覚えていられないくらい (^_^ゞ。
 コーラスもロシアンヴォイスの迫力がありました。

 ゲルギエフも序曲『モスクワ河の夜明け』から最後の集団殉教まで、集中力のある音楽を聴かせてくれました。
 このような大作オペラをそうそう上演できるものではありません。
 誰と誰が争っていたのか、分離派と教会改革派とは何だったのかなど、訳の分からないことも多かったのですが、まずは満足、感謝の公演でした。
 
 
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