METライブビューイング  ドニゼッティ作曲 《連隊の娘》
2008年5月11日(日)5:30PM ミッドランドスクエアシネマ

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  METライブビューイング  ドニゼッティ作曲 《連隊の娘》
 2008年5月11日(日)5:30PM ミッドランドスクエアシネマ

  指揮:マルコ・アルミリアート  演出:ローレン・ペリー

   マリー:ナタリー・デセイ
   ベルケンフィールド侯爵夫人:フェリシティ・パルマー
   トニオ:ファン・ディエゴ・フローレス
   シュルピス(連隊長) : アレッサンドロ・コルベリ
   クラッケントルプ侯爵夫人:マリアン・セルデス

 戦場に(?)置き去りにされた赤ん坊マリーは連隊の兵隊全員をパパとする『連隊の娘』して育てられた。
 彼女はチロルの若者トニオと恋に落ちるが、貴族の娘だということが分かり、パリに連れ去られて‥‥。

 メットライブビューイングで見た今シーズン最高のプロダクションでした。
 
 なんといってもナタリー・デセイのマリーが最高。
 進行役のルネ・フレミングが「シンギングアクトレス」と言っていましたが、コミカルな演技に惹きつけられて、歌の難しさが分からないくらい。
 デセイもフレミングのインタビューに「演技をしていると歌の難しさを忘れ、自然に歌えてしまう」と答えていました。

 そして、もう一人の殊勲者は演出のローレン・ペリー。
 デセイも「HE IS A GENIUS(彼は天才よ)」と言っていたように、カリカチュアライズされた動きがとても楽しい。
 一幕最後のマリーのアリアの最後、ベルケンフィールド侯爵夫人はマリーを家来に抱きかかえさせ連れ去ろうとする。
 そして最高音を伸ばし続けるマリーの口を手でふさいでしまう。
 オペラで歌手を歌えなくするというこの大胆な発想には心底から感心しました。

 ベルケンフィールド侯爵夫人役のフェリシティ・パルマーと連隊長シュルピス役のアレッサンドロ・コルベリも「シンギングアクトレス(アクター)」で本当に楽しい。
 フェリシティ・パルマーは《ピーター・グライムズ》で「おしゃべりおばさん」としていい味を出していました。

 その中でオペラ歌手だったのはトニオ役のディエゴ・フローレス。
 一幕のアリアではハイCが9回出てくると言うことですが、楽々と歌われてどこが難しいのか分からないくらいでした。
 
 
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