音楽祝祭劇 《トゥーランドット》
  2008年5月21日(水)6:30PM 御園座

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 僕は宮本亜門さんが苦手で、《トゥーランドット》も行く気はなかったのですが、名古屋まで来てくれるのなら、という義理のようなものを感じて (^_^ゞ、行ってしまいました。

        音楽祝祭劇《トゥーランドット》
    2008年5月21日(水)6:30PM 御園座

  演出:宮本亜門  音楽:久石譲  脚本:鈴木勝秀

     トゥーランドット姫:アーメイ(張惠妹)
     カラフ王子:岸谷五朗
     ワン将軍:中村獅童
     リュー:安倍なつみ
     宦官ミン:早乙女太一
     ティムール:小林勝也
     物売り:北村有起哉

 この作品は僕の不安を遙かに上回る、とても受け入れることが出来ない作品でした。

 ティム・ライスとエルトン・ジョンはヴェルディのオペラ《アイーダ》を借りてミュージカル《アイーダ》を制作し、これはオペラとは違う価値のある作品になったと、僕は評価しています。

 では宮本さんはプッチーニのオペラ《トゥーランドット》を借りて、何がしたかったのでしょう?
 プッチーニのオペラを上回る舞台を作るつもりだったのでしょうか?
 それともプッチーニを借りて、変わったことがしたかっただけなのでしょうか?
 それなら《トゥーランドット》に頼らずに、オリジナルのキャラクターを作り出すべきでしょう。

 2500円という目が飛び出る値段のプログラムは買えなかったので、この舞台の詳しいところは理解出来ていないかもしれませんが‥‥。

 ワン将軍はトゥーランドット姫の言うことを全く聞きません。
 宦官のミンなんかトゥーランドット姫の命令に従って、捕らえられたカラフ王子を助けたらワン将軍による鞭打ちの刑ですから、まったく理不尽なストーリー展開です。
 トゥーランドット姫は昭和天皇でワン将軍は関東軍でしょうか?

 それにしてもティムール、ミン、リューとたくさんの登場人物が意味もなく死んでいく舞台でした。
 第二幕の後半は虐殺シーンが延々と続きます。
 どうせ最後がワン将軍とカラフ王子の一騎打ちになるのは分かっているのだから、むごたらしいシーンでの引き延ばしは不要でしょう。

 リューなんか「カラフさま〜!、カラフさま〜!」と叫びながら何度も舞台を駆け抜け、カラフに会ったと思ったら斬り殺されてしまうんですから、状況判断の出来ない馬鹿な女と判断するしかないような気がします。
 リューが殺されるのはお約束ですが、これだけ見え見えではたまりません。

 そして大虐殺の後カラフが去って5年、トゥーランドット姫は民衆を前に、自分が退位し国を民主化することを宣言します (@o@)。
 立憲君主制ですかね?

 そこからまた延々と合唱と踊りが続き、いつ終わるのか分からずに困っていたら、客席後方からカラフ王子が現れ、喜びの歌とともに幕となりました。
 何ですかね、これ (^_^; 。

 久石さんの音楽は、オルフの「カルミナ・ブラーナ」を思い出させるコーラスなど現代音楽の作曲家としての面目躍如で、『となりのトトロ』のような心和む音楽はありませんでした。
 曲も少なかったでしょうか。音楽祝祭劇だからいいのかな?
 アンサンブルは難しい歌を歌い、難しい踊りを踊り、長い殺陣もこなし、大変レベルが高いと感心しました。
 
 
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