BCJ オラトリオ 《ユダス・マカベウス》
2008年12月7日(日)3:00PM 東京オペラシティ・コンサートホール

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 スズキのバイオリン教則本、第2巻の最初は『ユダス・マカベウスの合唱』。
 『見よ、勝利の英雄が還る!』ですね。

 だから子供の頃から《ユダス・マカベウス》の名前は知っていました。
 そして、いつかそのオラトリオ全体を聞いてみたいと思っておりました
 
 東京オペラシティ・バッハ・コレギウム・ジャパン
   2007→2008ヘンデル・プロジェクトⅡ
     オラトリオ《ユダス・マカベウス》

     2008年12月7日(日)3:00PM
    東京オペラシティ・コンサートホール

 指揮:鈴木雅明
 ユダス・マカベウス:櫻木 亮(テノール)
 イスラエルの女:柏原奈穂(ソプラノ)
 イスラエルの男:
     マリアンネ・ベアーテ・キーラント(メゾソプラノ)
 シモン:萩原 潤(バス)

 作品の舞台は紀元前2世紀のエルサレム。
 当時エルサレムを支配していたシリアはゼウスの神殿を建て、ユダヤ教を抑圧したため、ユダヤ人たちはマタティアスを指導者として反乱を起こします。

 紀元前167年マタティアスは死にますが、ユダヤ人たちは新しい指導者マカベウスのユダのもと再び反乱を起こし、紀元前165年に独立を勝ち取りました。

 実際に聴いた《ユダス・マカベウス》はストーリーがない。
「敵が襲ってくるのでもうダメだ」「敵をやっつけたのでもう安心」という歌の繰り返し。
 人間ドラマがまったくありません。

 ソリストも主役であるはずのユダス・マカベウスよりも女声2人の方がずっと出番が多く、作品の構成がどうもおかしい。
 これではヘンデルの音楽も同じ事の繰り返しのような印象になってしまいます。

 合唱が有名なのにあまり上演されない理由が分かりました。
 それが分かっただけでも上演していただいた意義はあったでしょう (^_^ゞ。

 柏原さんは可愛い人で、キーラントは豊かな声量でした。
 男声2人には満足できないところもありました。

 『見よ、勝利の英雄が還る!』は第3幕に歌われましたが、テンポは表彰式で聞くより1.5倍は速く、これでは凱旋の行進も早足になってしまうでしょう。
 まあ、行進曲ではないのかもしれませんが‥‥。

 解説によれば、この曲は1748年初演のオラトリオ《ヨシュア》の第3幕でヨシュアの勝利の帰還を祝う音楽として作曲されたものを、1750年の《ユダス・マカベウス》の再演時に挿入したものだそうです。
 
 
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