『ディア・ドクター』
2009年7月1日(水)5:00PM  伏見ミリオン座

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 無医村の偽医者を題材とした話題の映画『ディア・ドクター』を、伏見ミリオン座まで見に行って参りました。

 原作・脚本・監督:西川美和
 出演:笑福亭鶴瓶 八千草薫 瑛太 余貴美子 井川遥  香川照之

 大学を卒業したばかりの研修医・相馬(瑛太)が、山間の村に赴任してきた。
 村の診療所ただ一人の医師・伊野(笑福亭鶴瓶)は昼夜を問わない診察と往診だけでなく、危篤の老人や救急患者への措置で村中から「名医」と慕われている。

 ある日伊野(鶴瓶)は、娘(井川遥)が東京の病院に勤めている鳥飼という老女(八千草薫)を診察する。
 彼女は自分の病気が重病だと感づいていて(その後、胃カメラをしたらガンだった)、娘に迷惑はかけたくないとの思いから、伊野に「先生、一緒に嘘をついて下さい」と依頼する。

 それからいろいろの事件があるがカット (^_^ゞ。

 やがて東京の大病院に勤める娘(井川遥)が母親に会いにやってくる。
 彼女はゴミ箱に捨てられた薬(鉄剤)を見て、母親がガンではないかと疑う。
 伊野(鶴瓶)はわざわざ偽の胃カメラフィルムを作って、井川を説得する。

 やっと納得した娘は、「次に来るのは1年後」と言う。
 ここで伊野(鶴瓶)はパニックに陥った。
 八千草との約束を守って嘘をつき通すならば、井川は八千草の死に目に会えない。
 しかしもし真実を井川に告げるならば自分がニセ医者だということがばれる。
 切羽詰まった鶴瓶はオートバイに乗って村から逃げ出し、卸の香川照之を通じて井川に本当のデータを渡す。

 やがてニセ医者事件として村に二人の刑事が来て捜査が始まるが‥‥。

 笑福亭鶴瓶は善戦健闘。
 周りを囲む役者達が実に上手。
 特に難題を押しつけた品の良いおばあさんを演じた八千草薫は絶品かと思いました。

 鶴瓶の生き方に感動した瑛太が、「この村に残りたい」という『赤ひげ』みたいな場面。
 鶴瓶「あのな、俺はニセ医者なんや」
 瑛太「それなら僕だってニセ医者です。金儲けばかり考えている父親なんか、もっとニセ医者です」という真剣でありながら噛み合わない会話のおもしろさに泣けます。

 また、長い間放置していた母親を反省と共に自分の病院に誘う井川遥。
 この場面にも泣けました。

 この映画は『おくりびと』ほどではないけれど、なかなか出来の良い力作で、原作の 西川美和「きのうの神さま」(ポプラ社) は直木賞の候補になっているそうです。
 
 
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