ミュージカル座 《赤ひげ》
2009年7月5日(日)6:30PM  THEATRE1010(北千住)

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 6時30分開演前に終演時間を聞いたら「9時45分です」との返事にビックリ。
 名古屋に帰る新幹線は午後10時までですから、とても最後まで見ることは出来ません。
 
 それよりも「不必要な部分が多くて時間が長くなっているのではないか?」との不安の方が大きかったんですが、この不安はピタリと当たってしまったんですね (^_^; 。

    ミュージカル座 《赤ひげ》
   2009年7月5日(日)6:30PM
    THEATRE1010(北千住)

    脚本・作詞・演出:ハマナカトオル
    作曲・音楽監督 :逸見良造

    新出去定:宝田 明
    保本 登:松原剛志
 
 長崎留学中に婚約者の「ちぐさ」に裏切られた若き医師保本登は、江戸での出世を夢見て戻ってきたが、彼に与えられた職場は貧乏人相手の小石川養生所だった。
 そこには『赤ひげ』と呼ばれる新出去定が君臨していた。

 登は養生所で『赤ひげ』に鍛えられ、医師として、人間として成長し、やがて「ちぐさ」よりも妹の「まさを」の方が美人であることに気が付いて、「まさを」と結婚する。

 こんなストーリーでいいの (^_^ゞ?

 山本周五郎の『赤ひげ診療譚』は8つの短編からなっています。
 それを全部舞台化することは不可能でしょう。
 黒澤明の映画『赤ひげ』でも3時間くらいかかったでしょうか。

 今回のミュージカルには多くのエピソードが取り入れられています。
 団員が多いためもあるのでしょうが、その多くがエピソードの羅列にとどまり、ドラマにはなっていないように見えました。

 そもそもこの話は、若くうぬぼれた青年医師保本登が人間として成長する話でしょう。
 その当たりが全く見えない。

 舞台に出てくるのは、貧しい病人が苦しんだ挙げ句に死んでいく場面ばかり。
 映画『赤ひげ』でも3時間かかったのに、ミュージカルでは歌まで付いているんですからね。

 『赤ひげ』役の宝田明さんは、全く赤ひげそのものの適役。
 山本周五郎が作り出した魅力的な人物を生き生きと演じていました。
 舞台での存在感もさすがです。

 保本役の松原剛志さんは脚本のためもあるのでしょうが、存在感無し。
 埋もれている。

 他の人はどうだったのかな?
 みんな同じに見えましたね。

 逸見良造さんの音楽は上演時間と比較して少なすぎるし、耳に残らない。
 ミュージカルらしかったのは、一幕最後の『赤ひげ』の朗々と歌い上げる曲くらいかな。
 もっとも僕は新幹線のために2幕途中で帰ったから、その後に魅力的な場面があったらごめんなさい。

 なにはともあれエピソードを絞り込んで1時間はカットして、保本登という人間をしっかり書いて、音楽を魅力的なものに取り替える必要があるかと思いました。
 
 
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