齊藤一郎&野平一郎 『ゴルトベルク変奏曲』
2010年11月19日(金)6:45PM 三井住友海上しらかわホール

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 後半だけでも聴こうかと出かけたのですが、受付嬢の「ただ今舞台のセッティング中です」という御言葉で、2曲目のピアノ協奏曲から聴くことが出来ました。
 現代音楽の難しそうなプログラムなのに、お客さんは良く入っていました。

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 (俳句:齊藤一郎・俳句監修:片山由美子)

 2010年11月19日(金)6:45PM 
 三井住友海上しらかわホール

 指揮:齊藤一郎   ピアノ:野平一郎

 権代敦彦:沈黙への7つのコラール変奏曲
 矢代秋雄:ピアノ協奏曲
 バッハ(野平一郎編曲):ゴルトベルク変奏曲

 矢代秋雄さんのピアノ協奏曲では、3小節単位のオスティナートを42回繰り返す第2楽章が気に入りました。

 プログラムによれば、通称「ゴルトベルク変奏曲」のバッハ自身による標題は「2段鍵盤ハープシコードのためのアリアとその変奏曲」。
 ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(1727~1756年)はバッハの弟子であり、不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のお抱え音楽家であった。

 次に、プログラムに書かれた野平一郎さん(東京芸術大学作曲科教授)の言葉。
 齊藤氏から編曲の依頼を受けたとき、これは不可能だろうと思った。
 原曲は、何回も演奏して熟知しているものの、聴く人を「退屈させる」ために書かれた作品を、逆に管弦楽の力で「退屈させない」ようにすることはほとんど不可能なことに思えた。

 で、野平さんは「作曲と編曲の狭間にあるようなもの、すなわち自由な現代的編作を試みた」とのこと。
 バッハの音楽が急にもやもやとした現代音楽の霧の中に隠されたりして、意欲的な試みだとは思ったけれど、やはり正統的なバッハの方が、僕の好みです。

 で、プログラムに書かれた齊藤一郎さんの言葉。
 この作品の編曲として挙げられるものはシトコベツキーの弦楽三重奏やラバデイの弦楽合奏版、ラダーマーのギター編曲版などである。
 日本では今年の二月に清水靖晃がサックス5本とコントラバス4本でこの大作に挑み、すみだトリフォニーホールを湧かせたのが記憶に新しい。
 野平氏による今回の管弦楽編曲版は私の知る限り世界初のもので、バッハの音楽世界を現代の感性から切り拓いた偉大な一歩である。

 この野平一郎編曲によるゴルトベルク変奏曲が、どれほどの人に受け入れられ演奏されていくのか、見てゆきたいと思います。
 
 
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