ギャリック・オールソン ピアノリサイタル
2012年5月15日(火)6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

「REVIEW12」に戻る  ホームページへ
 
 
 1970年の第8回ショパン国際コンクールで優勝したギャリック・オールソンは、当時から一度は聴いてみたいと思っていましたが、最近は名前を聞くことも無く、もう引退したのかと思っていました。
 「24年ぶり!」というチラシを見つけて、絶好のチャンス!と行って参りました。
 プログラムを読むとけっこう演奏活動を行っているようで、「もう引退したのか」などとは失礼なことでした。

 ギャリック・オールソン ピアノリサイタル
 2012年5月15日(火)6:45PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール
 
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調「悲愴」
 べートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 へ短調「熱情」
 
 ショパン:舟歌 嬰へ短調
 ショパン:マズルカ 第32番 嬰ハ短調
 ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調

 ギャリックーオールソンは1948年、ニューヨーク州の生まれ。
 13歳でジュリアード音楽院に学び、クラウディオ・アラウらの薫陶を受ける。
 1970年の第8回ショパン国際コンクールにアメリカ人として初めて優勝した(22歳)。
 この時の第2位は内田光子さん。
 ちなみに1966年(第7回)の優勝者はアルゲリッチ、1974年(第9回)の優勝者はツィメルマン。
 
 オールソンはその後来日して、N響との共演もしているようです。

 会場に到着したら、ちょうど「悲愴」が終わったところで、「熱情」に滑り込みセーフ。
 3階の入りはざっと半分でしょうか。

 ギャリック・オールソンのベートーヴェンは10本の指全部に均等に力が入った力強い音で、テクニック的にも申し分なく、重厚で立派な演奏かと思いましたが、それほど面白いわけでもありませんでした。
 しかし今日は、後半のショパンを聴かずに帰るわけにはいきません。

 ショパンもあまりロマンチックな演奏とは思いませんでしたが、素晴らしかったのがピアノ・ソナタ第3番の第3楽章。
 このラルゴ楽章はもちろんショパンの最高傑作(の一つ)だと思っていますが、ゆったりとして思索に満ち深く深く沈潜していくオールソンの演奏は、淡々と弾いているようですが、瞑想的と言いましょうか修行僧的と言いましょうか、若い人にはできない世界に到達していると、いたく感銘を受けました。
 この楽章を聴けただけでも、来た甲斐があったというものです。

 アンコールはショパンの「マズルカ」と「ワルツ」でしたが、知らない曲でした。
 会場からは熱い拍手が送られ、僕も一生懸命拍手してきました。