セントラル愛知交響楽団第136回定期演奏会
楽劇(オペラ)《白峯(しらみね)》 世界初演
2014年9月26日(金)6:30PM しらかわホール

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 セントラル愛知交響楽団136回定期演奏会は、演奏会形式とはいえ現代オペラの初演という無謀とも思えるものでした。
 そのチケットが売り切れになってしまったというのにも驚きました。
 文化都市名古屋を象徴する、いい話ではありませんか (^_^) 。

 「白峯寺」は香川県坂出市にあり、保元の乱に敗れた崇徳上皇が流され、死亡(1164年)、埋葬された御陵があるそうです。
 崇徳上皇は死後、天変地異を引き起こす怨霊として恐れられました。

 平日で僕は途中入場ですが、このオペラは原則として全幕続けて演奏され、入場のタイミングが難しかったですね。

 セントラル愛知交響楽団第136回定期演奏会
 2014年9月26日(金)6:30PM しらかわホール

 楽劇(オペラ)《白峯(しらみね)》 3幕12場
 台本・音楽 丹波明 世界初演 演奏会形式
 指揮:井崎正浩 演出:池山奈都子

 キャスト
 崇徳天皇:大野徹也
 西行法師:大塚博章
 白河法皇:加賀清孝
 鳥羽上皇:中鉢聡
 待賢門院:伊藤晴
 美福門院:飯田みち代
 藤原頼長:大久保光哉
 藤原忠道:草刈伸明
 侍従:滝沢博
 乳母Ⅰ:城愛美
 乳母Ⅱ:本田美香
 武士Ⅰ:迎肇聰
 武士Ⅱ:山本康寛
 雅楽:田中松緑

 作曲者の丹波明さんは1932年横浜生まれ。
 東京藝術大学作曲科卒業後、1960年にフランスに渡り、オリヴィエ・メシアンに師事する。
 2012年、パリ在住50年の記念コンサートが行われた。

 オーケストラの後ろにステージが組まれ、譜面台が置かれ、登場人物が入れ替わり歌います。
 衣装はそれなりのものでした。
 コーラス(24人)は2階バルコニー席の、右に男声、左に女声が向かい合って配置され、合わせるのが難しそうです。
 
 第一幕は白峯の御陵における西行法師と樵(きこり)との対話。
 キャスト表を見ても、この樵が誰だか書かれていない。
 まあ、崇徳上皇の霊だったんですけれどもね。

 第二幕は宮廷の場で、多くの人物が現れます。
 池山さんの演出は家系図が出たり、字幕が出たり。
 保元の乱の時代は天皇家だけでも複雑なのに、藤原家まで出てきて理解できません。
 プログラムの台本で「中宮」という人が出てきまして、これがまたキャスト表で誰だか分からない。
 いろいろな状況から、待賢門院だったような気がします。

 第二幕第五場「保元の乱」の前に休憩。
 第七場で破れた崇徳上皇は讃岐に流される。

 第三幕は白峯の御陵における崇徳院と西行の対話。
 そして、西行とコーラスによるフィナーレ。

 丹波明さんの音楽は全くの現代音楽で、歌手にメロディーは与えられず、プログラムには「レシタティフ音型で登場人物を統一し、その音型を降下させたり、上昇させたり、早めたり、遅くしたり‥‥」と書かれています。

 日本でもトップクラスのメンバーが集められたキャストは、約700席という中ホールということもあって、どの方も立派な歌唱に聞こえました。

 井崎正浩さん指揮するオーケストラ、コーラスもこのような難曲に挑戦し、立派な成果を上げられたと思います。
 オーケストラだけの部分もあり、組曲としてまとめられたら良いのではないかと思いました。

 カーテンコールでは会場から登場した作曲者の丹波明さん(82歳?)に盛大な拍手があり、丹波さんは幸せそうでした。

 《白峰》は明日、9月28日(日)2PMから、すみだトリフォニーホールで東京公演が行われます。