《レ・ミゼラブル》 中日劇場
2015年6月24日(水)12:30

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 《レ・ミゼラブル》は、ヴィクトル・ユーゴー(1802~1885年)が1862年に執筆した大河小説をミュージカル化したもの。
 原作はあまりに長大で、カットされている部分も多いのですが、ミュージカルのクライマックスとなるのは1832年6月5日から6日にかけて、パリで起こった「六月暴動」。

 僕がこのミュージカルを初めて見た時は「ジャン・バルジャンがパンを盗んで監獄に長く入れられ、出獄してから神父様の食器を盗んだが赦された」という程度の理解でしたが、その場面は最初の5分から10分くらいで過ぎてしまい、次に出てくるバルジャンは市長様ですからね。
 何が何だか分かりませんでしたよ (^_^ゞ。

 前回の公演から短縮版となっているのですが、それでも前半が12:30~14:00、後半が14:25~15:40 と、3時間以上の時間がかかってしまいます。

 作曲者のクロード=ミシェル・シェーンベルクは、十二音技法で有名なアーノルド・シェーンベルクのお兄さんの子孫。
 音楽の歴史に名前が残るのはアーノルド・シェーンベルクでしょうが、クロード=ミシェル・シェーンベルクの方が、ずっとお金持ちなんでしょうね。
 彼やアンドリュー・ロイド=ウェッバー(オペラ座の怪人)が「現代のプッチーニ」と呼ばれるように、現代クラシックのオペラが不協和音に埋没し、数回の公演しか出来ないのに対し、彼らのミュージカルはプッチーニのような美しいメロディーを持ち、ドラマチックな舞台作りで多くのファンを何年(何十年?)も集めています。

 《レ・ミゼラブル》中日劇場
 2015年6月24日(水)12:30

 ジャン・バルジャン:ヤン・ジュンモ
 ジャベール:川口竜也
 ファンテーヌ:知念里奈
 エポニーヌ:綿引さやか
 マリウス:原田優一
 コゼット:若井久美子
 テナルディエ:萬谷法英
 マダム・テナルディエ:森公美子
 アンジョルラス:野島直人
 ガブロッシュ:與名本 睦
 リトル・コゼット:黒川胡桃

 今回は韓国出身のバルジャン、ヤン・ジュンモさんがお目当てでしたが、迫力を押し出す歌いぶりで、あまり好みのタイプではありませんでした。
 セリフは劇団四季の韓国人キャストほどの違和感はありませんでしたが、『彼を帰して』の最後の「家(うち)へ~~」を「うち」でブレスを取って、「へ~~」と歌ったのには驚きました。
 東京公演も済み、今までに誰も「こういう時『へ』は『え』と発音するんだよ」と教えてあげなかったのでしょうか?

 ジャベールの川口竜也さんは大阪芸大ミュージカルコース出身。
 張りのある声で、良いジャベールかと思いました。

 コゼットの若井久美子さんは東京音大出身。
 2回出てくるハイトーンに心配が無いのは、安心ですね。

 マリウスの原田優一さん(もうベテラン)も安定した演技、歌唱でした。
 あとは、ガブロッシュとリトル・コゼットが良かったですね。

 僕は以前から、砦の中で、ガブロッシュがいつジャベールが警部(スパイ)だということに気がつくのか、気になっていました。
 今回初めて気がついたんですが、砦からジャベールが「奴らを偵察してくる」と出て行く時に、ガブロッシュがあとを追っていくんですよ。
 隅の方だから気がつかない人も多いでしょうが、細かい芝居をしているなあ、と驚きました。