名フィル435定期 ドミトリー・リス&アンドレア・ブルガー
2016年5月21日(土)4:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 名フィル第435回定期演奏会
  =ソヴィエト連邦の遺産=

 2016年5月21日(土)4:00PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指 揮:ドミトリー・リス
 ヴィオラ:アンドレア・ブルガー
 コンサートマスター:荒井英治

 ショスタコーヴィチ:バレエ『黄金時代』組曲より「序奏」「ポルカ」「踊り」
 シュニトケ:ヴィオラ協奏曲
 ショスタコーヴィチ: 交響曲第6番

 定期会員を辞めたので、今シーズン初めての定期演奏会になります。
 まず、入口で渡されたビニール袋にプログラムが無いのに驚きました。
 ひっくり返してみたら、サイズがB5からA5に小さくなった、そして一月分の演奏会がまとめられたプログラムが入っていました。
 活字が小さくなってしまったのは老眼の身には辛いことです (^_^ゞ。
 
 経費削減なのでしょうが、観客サービスから手を付けるとは残念なことです。
 セントラル愛知交響楽団のプログラムはB5のカラーなのに。
 名フィルの方が経済的基盤はしっかりしていると思いますが‥‥。

 新企画「楽員掲載コラム」はもう少し音楽に関係する話題を取り上げていただきたいと思います。
 個人の書き殴りや、カヌーの話では読む気もしないでは無いですか。

 会場の入りは悪かったですね。
 ブラビンズ時代を思い出すような、マニアックなプログラムですからね。
 僕はこういうプログラムに、興味を感じるんですけれどもね (^_^ゞ。
 
 シュニトケの「ヴィオラ協奏曲」はオーケストラのヴァイオリンパートは無くて、その場所にハープシコード、チェレスタ、ピアノ、ハープが並んでいました。
 登場したソリストは久しぶりに友人に会った時のように、ヴィオラのパートリーダーに駆け寄りました (@o@)。

 そういえば、ヴィオラのパートリーダーが変わっていました。
 3年に一度(?)の団内オーディションがあって、パートリーダーに変動があったようです。
 今までヴィオラのパートリーダーは石橋直子さんでしたが、今期からは叶澤尚子さんと二人体制となり、今回の担当は叶澤さんだったんですね。
 第2ヴァイオリンでは川上祐司さんが首席となり、小森絹子さんとの二人体制。
 3年前の団内オーディションではチェロとコントラバスの首席奏者が選ばれず、首席奏者無しの状態が続いていましたが、今回はチェロは太田一也さん、コントラバスは上岡翔さんと佐渡谷綾子さんが首席奏者となりました。
 管打楽器では、ファゴットの田作幸介さんと、打楽器のビードリッキーさんが首席奏者となられました。
 3年前のような降格は無いようでした。

 コンサートに戻りまして、(再掲)登場したソリストは久しぶりに友人に会った時のように、ヴィオラのパートリーダーに駆け寄りました (@o@)。
 叶澤さんのブログによれば、前日の定演の後に飲み会があったみたいです。

 アンドレア・ブルガーは1990年スイス生まれ(26歳?)で、ジュネーブ高等音楽院で今井伸子さんに師事。
 2015年第3回東京国際ヴィオラコンクール第1位。
 長身の金髪美人で、楽器も大きく(ヴィオラだから)見栄えがして、音もよく鳴っていました。
 シュニトケの曲はもちろん全く分かりませんが、「ヴィオラ界に新しいスター誕生!」との印象を強く持ちました。

 ショスタコーヴィチの交響曲は「第5番」しか記憶にありませんが、プログラムの「ショスタコーヴィチの正しい聴き方」という、一柳富美子さんの上から目線の記事が面白かった。
 一柳さんはロシアのショスタコーヴィチ新全集に論文が引用されている唯一の日本人研究者だそうです。

 彼女によれば、「第5番」の「二枚舌性」は無知と妄想が生んだ真っ赤な嘘であり、この曲は不倫精算のための音楽だったそうです。
 そう言われれば、かなり激しい家庭内バトルの後の歓喜の音楽だったような気もしてきました (^_^ゞ。

 「交響曲第5番」が若手指揮者ムラヴィンスキー指揮するレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団で初演され、大成功を収めたのは、1937年11月21日。
 「交響曲第6番」は1939年11月5日にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団で初演。
 同年、12月3日、ソ連軍がフィンランドに侵攻。
 1941年6月22日にヒトラー・ドイツがソ連に侵攻し、独ソ戦開始。

 この時代を扱った中川右介さんの力作「戦争交響楽」(朝日新書)を読んでみたのですが、Wikipediaと年月日が異なる記載があり、どちらが正しいのか迷ってしまいました。
 交響曲第6番が初演された日が、Wikipediaでは1939年11月5日なのに、中川さんの本では11月26日になっています。

 本日のコンサートマスターは東京フィルハーモニー交響楽団のソロ・コンサートマスターである荒井英治さん。
 荒井さんはモルゴーア・クァルテットのメンバーとしてショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲全15曲に取り組まれた、ショスタコーヴィチの権威です。

 指揮者のドミトリー・リスは1460年生まれ、モスクワ音楽院ドミトリー・キタエンコ教授に師事。
 1995年にウラル・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督・首席指揮者に就任。

 ドミトリー・リスの指揮は、名フィルを振り回して、大変なものでした。
 昔テレビで見たロジェストヴェンスキーの「タイボルトの死」を思い出しました。
 曲はマイナーですが、名フィルが演奏してきた数々のコンサートでも、ベストの一つに数えられる演奏かと思いました。
 もっともっと聴かせていただきたい指揮者です。
 来年のフォル・ジュルネには参加するのでしょうか?
 
 カーテンコールで左側のドアから出て行ったリスは、右側のドアから再入場 (@o@) し、コントラバスやチェロを驚かせ、お茶目な人なのでしょうか。
 カーテンコールではフルート、ファゴット、ピッコロの順で奏者の起立がありました。

 この曲でピッコロは怖ろしく難しそうな技術を求められており、エキストラの大久保成美さんに、会場からもステージ上の団員からも大きな拍手が送られていました。
 大久保成美さんについて調べてみましたが、これでよろしいでしょうか?
 香川県出身。東京芸術大学音楽学部器楽科を経て、同大学院音楽研究科修士課程を修了。現在はフリー奏者としてソロ、室内楽、オーケストラへのエキストラ出演の傍ら、後進の指導も行なっている。