イタリア・スポレート歌劇場:歌劇『ラ・ボエーム』
2016年6月18日(土)5:00PMPM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 チラシを見ただけで、どのような公演になるか分かってしまい、あまり食指も動かなかったのですが、かつては一番好きだったオペラ《ラ・ボエーム》が名古屋まで来てくれるのなら見ておこうかと考え直しました。
 音楽雑誌には「ローマ・イタリア歌劇団」という広告も見られ、同じ時期にイタリアから2つの《ラ・ボエーム》が来日するのかと思っていたら、同じ団体で驚きました。

 プログラムには、「今回の公演はスポレート歌劇場を母体に、ボローニャ歌劇場、サンタ・チェチーリア管弦楽団のメンバーが加わり、結成されました」と書かれていました。

 ふくろうの本「イタリアの歌劇場」(牧野宣彦)によると、スポレートには「テアトロ・カイオ・メリッソ」、「テアトロ・ヌオーヴォ」、「テアトロ・リリコ・スペリメンターレ」の3つの劇場があり、「若いオペラ歌手のためのコンクール」を主催しているのは「テアトロ・リリコ・スペリメンターレ」だそうです。
 プログラムのイタリア大使の挨拶を辿っていったら、「テアトロ・リリコ・スペリメンターレ」の名前が出てきました。

 イタリア・スポレート歌劇場:歌劇『ラ・ボエーム』
 2016年6月18日(土)5:00PM
 愛知県芸術劇場大ホール
 指 揮:カルロ・パッレスキ
 演 出:ジョルジョ・ボンジョヴァンニ
 ミミ:カルメラ・レミージョ
 ロドルフォ:ジュゼッペ・ディステファノ
 ムゼッタ:サブリナ・コルテーゼ
 マルチェッロ:ロドリゴ・エステヴェス
 ショナール:トンマーゾ・バレア
 コッリーネ:エウジェニオ・ディ・リエート
 ブノア/アルチンドロ:マッシミリアーノ・マンドッツィ
 バルピニョール:アメデオ・フーリア
 管弦楽・合唱:イタリア歌劇場管弦楽団・合唱団
 児童合唱:名古屋少年少女合唱団

 演出は、どの幕も恥ずかしくなるような常套的なもの。
 第一幕で二人が落とした鍵を探すのも、ロドルフォのロウソクが手元のスィッチで消えるのも、何のアイディアも感じることは出来ませんでした。
 僕は読み替え演出は見る気もしませんが、これほど常套的、当たり前な舞台をあえて見る必要があるのだろうかと考えてしまいました。
 
 ジュゼッペ・ディステファノという凄い名前のテノールは、この巨大ホールには線が細く、第1幕の最後は音を下げて歌っていました(このような歌唱は久しぶりに聞きました)。
 僕は往年の名テノール、ジュゼッペ・ディ・ステファノとの関係を知るために高いプログラム(1500円)を買ってしまいましたが、彼らの関係については何も書かれていませんでした。

 第二幕はゼッフィレッリに較べると合唱は3分の1でしょうか。
 それだけに若者達の位置や歌唱が聴き取りやすかったです。
 ムゼッタのサブリナ・コルテーゼは存在感がありました。
 名古屋少年少女合唱団は歌も演技も立派なもので、誇らしく思いました。

 第三幕は良かったです。
 役に成り切るということは大事ですね。
 本公演のセールスポイントはミミのカルメラ・レミージョですが、この幕のミミには感心しました。
 ロドルフォがミミに気付くところでは、ひと咳していただきたかった。

 第四幕でミミが息絶える場面では、和音に合わせ腕をだらりと下げるとか、普通はするものでしょう?
 最後の、二人だけにスポットが当たった場面は良かったですね。

 この日は全国ツアーの2日目で、明日6月19日(日)は富山市で3:00PM開演。
 過酷なスケジュールに驚きました。
 これから夜行バスでの移動になるのでしょうか?