フレッシュ名曲コンサート 読響×カーチュン・ウォン×藤田真央
2019年3月2日(土)3:00PM めぐろパーシモンホール 大ホール
指揮:カーチュン・ウォン  ピアノ:藤田真央

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 フレッシュ名曲コンサート
 読響×カーチュン・ウォン×藤田真央
 2019年3月2日(土)3:00PM
 めぐろパーシモンホール 大ホール

 指揮=カーチュン・ウォン
 ピアノ=藤田真央

 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30
 ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」

 藤田真央さんが名フィルと共演したラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に異様な感銘を受けましたので、東京まで「第3番」を聴きに行ってきました。
 オペラならいざ知らず、ピアニストを聴きに東京まで遠征するとは、僕としては大変珍しいことでが、それほど興味を引かれたピアニストなんです。

 新幹線を新横浜で降り、菊名駅から東急東横線で「都立大学」へ向かうと、「武蔵小杉」「自由が丘」「田園調布」など、「アド街ック天国」で聞いたような駅名が次々と出てきて、「東京は凄いな」と圧倒されてしまいます。

 会場のめぐろパーシモンホールは都立大学の跡地に建てられた、近代的な美しいホールでした。
 壁に貼られたポスターを見ていると、アマオケなどのコンサートに使われているようで、羨ましいことです。
 名古屋には愛知県芸術劇場と名古屋市民会館の2つしかコンサートホールが無く、アマオケは会場確保が大変なことになっています。
 本日のコンサートのチケットは完売で、藤田さんは東京では既に人気ピアニストになっておられるようです。
 
 藤田真央さんは1998年東京都生まれ。3歳からピアノを始める。
 東京音楽大学1年在学中の2017年に、第27回クララ・ハスキ ル国際ピアノ・コンクールで優勝。一躍世界の注目を浴びる。
 現在、特別特待奨学生として東京音楽大学2年ピアノ演奏家コース・エクセレンスに在学し研費を積んでいる。

 藤田さんの演奏は期待どおり、ロマンティックなそしてスケールの大きいものでした。
 10本の指の和音で、鍵盤を飛び回る確実なテクニックにも目を見張りました。
 カーチュン・ウォンさんの指揮は推進力のあるもので、オケは速く飛ばし、第1楽章などは合っているのかよく分からない部分もありましたが、第3楽章のフィナーレの盛り上がりはソリスト・オケとも圧倒的で、若きヴィルトゥオ-ゾの今後が楽しみです。

〈ソリスト・アンコール〉クライスラー/ラフマニノフ編曲:愛の悲しみ

 藤田さんは2020年2月15日(土)に 、中部フィル第69回定期演奏会(指揮:秋山 和慶)のソリストとして、ショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏されます。

 カーチュン・ウォンさんは1986年、シンガポール生まれ。
 7歳でトランペットを始め、ヨン・シュトウ音楽院(シンガポール)で作曲を、その後ハンス・アイスラー音楽大学(ベルリン)で指揮を学ぶ。
 クルト・マズアの愛弟子として大きな影響を受け、さらに、グスターボ・ドゥダメル、ベルナルト・ハイテインク、ハインツ・ホリガ一、エサ=ペッカ・サロネンといった錚々たる指揮者からも薫陶を受ける。
 2016年第5回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクール優勝。
 ニュルンベルク交響楽団首席指揮者。

 『展覧会の絵』はきびきびとしたスピーディーな演奏で、盛大に盛り上がりました。
 読響も見事な演奏で、カーテンコールでは、第1トランペット、サクソフォーン、ユーフォニウム、バスチューバが起立させられていました。
 アンコールはエルガ-『愛の挨拶』の管弦楽用編曲で、優しい音楽でした。

 カーチュン・ウォンさんは5月24日(金)25日(土)に名フィル168回定期演奏会の指揮をされます。
 しかし、曲目がバルトーク:ハンガリーの風景、ヴィオラ協奏曲、シベリウス:交響曲第6番&第7番という‥‥。

 コンサート終了後に藤田さんのサイン会がありました。
 僕は普段はサイン会には並ばず、早く帰ってしまうんですが、今回ばかりは「ショパン/ピアノソナタ第3番」のCDを購入して、列に並ばせて頂きました。
 「チャイコフスキーやショパンコンクールに出場されるのですか?」と聞いてみましたが、「どうでしょうね(笑)」というお返事でした。
 
 CDにはインタビューがありまして、「聴いてくださった方々にもう一度聴きたいと思っていただけるアーティストになりたいです」と語っておられましたが、名古屋で初めて聴いた僕が、もう一度聴きたいと思って、東京までやって来たんですね(笑)。

 3月9日(土)の「題名のない音楽会」に藤田さんが出演され、モーツァルトのピアノソナタを演奏されるそうです。