堺シティオペラ第34回定期公演《アイーダ》
2020年1月12日(日)2:00PM
フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)大ホール

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 フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)の柿落とし事業のフィナーレ。
 しかし、「フェニーチェ」とはよく名付けたものです。
 ほとんどの堺市民が、「フェニーチェ」がヴェニスにある歌劇場の名前とは知らないでしょう。
 堺はヴェニスの姉妹都市でも無いようだし、港町つながりでしょうか。

 劇場自体はクラシックなホールで、足下にも余裕があり、前の人の頭が邪魔になることが無く、好印象です。

 堺シティオペラ第34回定期公演《アイーダ》
 2020年1月12日(日)2:00PM
 フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)大ホール

 指揮:牧村邦彦
 演出:粟國 淳

 エジプトの王:Krišjānis Norvelis
 アムネリス:伊藤 絵美
 アイーダ:水野 智絵
 ラダメス:藤田 卓也
 ラムフィス:片桐 直樹
 アモナズロ:井原 秀人
 巫女長:老田 裕子
 伝 令:島影 聖人

 ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
 堺シティオペラ記念合唱団

 かつて、僕はこの《アイーダ》というオペラが苦手でした。
 日本のオペラファンには多いと思うけれど、僕がこのオペラを初めて見たのは『NHK イタリア歌劇団』のTV放映。
 ジュリエッタ・シミオナートの憎々しいアムネリスは今も記憶に残っています。
 「アムネリスと結婚してアイーダを愛人にすれば万事まるく収まるのに、ラダメスはバカなやつだ」なんて、思っていました。

 そんな僕が変わったのは、2000年8月にニューヨークで見た、ディズニー・ミュージカル《アイーダ》。
 このミュージカルは「恋人ラダメスと友人アイーダに裏切られたお茶目な王女アムネリスが、辛い経験を乗り越え、偉大な女王に成長する」というストーリー。
 自分が愛されていないことを知りながら、婚礼の衣装に着替える『I KNOW THE TRUTH』というナンバーは泣けました。
 それ以来ちょっとアムネリスのファンになり、このオペラを見る目が変わりました (^_^) 。

 粟國 淳さんの舞台は大きな階段を使った、質素な物。
 しかし、その舞台がエジプトの巨大合唱団で埋まると、輝かしい凱旋の場となって、見事な演出です。
 衣装は現代日本での《アイーダ》の上演にはこの衣装しかいないといえる、緒方規矩子さんが粟國安彦氏の上演時に作られた伝承的衣装を基本としている。

 牧村邦彦さん指揮するザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団はレベルの高い演奏を繰り広げ、アイーダトランペットは両奥のバルコン席から吹き鳴らされました。

 大行進曲の間にバレエが踊られましたが、ソリストが小さい子供なのに、ジャンプや回転をピッタリ決めて、大拍手。
 このソリストが森虹乃歌さんなら、いろいろなコンクールで入賞されているようです。

 アイーダとアムネリスは、ネトレプコで予習をして行ったものですから、やはり声が小さい。
 すぐに慣れましたが、大コーラス、大オーケストラでは、声が聞こえてきません。
 
 しかしこの《アイーダ》は、演出、指揮、オーケストラ、コーラス全体、として大変にレベルの高いもので、フェニーチェ堺の柿落とし事業として、大成功を納められたものと思いました。