ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲演奏会
 ピアノ:ゲルハルト・オピッツ
 指 揮:新田ユリ 愛知室内オーケストラ

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 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲演奏会
 ピアノ:ゲルハルト・オピッツ
 指 揮:新田ユリ
 愛知室内オーケストラ

 2020年12月26日(土)
 三井住友海上しらかわホール

 コロナ禍の年末に、ゲルハルト・オピッツを招いての「ベートーヴェンピアノ協奏曲全曲演奏会」がありました。
 オピッツはミュンヘン在住で、本当に来日できるか心配でしたが、奥様は日本人(洋子さん)で、日本にも家があるそうです。
 
 オピッツというピアニストは初めて聴きました。
 1953年、西ドイツのバイエルンに生まれたオピッツは、20歳のときに20世紀の巨匠であり、ベートーヴェンの解釈者として名高いドイツのピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプと出逢いました。
 「南イタリアにあるケンプの家でのレッスンには多くの思い出があります。
 ベートーヴェンのピアノ・ソナタはすべて勉強しましたし、特に印象深いのはベートーヴェンのすべてのピアノ協奏曲を勉強したことです。
 ケンプがピアノでオーケストラ・パートを弾きながらのレッスンは素晴らしいものでした。」

 指揮の新田ユリさんが登場してビックリ。
 チラシの写真では短髪のお嬢さんなのに、登場したのはザンギリ頭の白髪女性。
 新田さんは国立音楽大学卒業後、桐朋学園デイプロマコース指揮科に入学。
 尾高忠明、小澤征爾、秋山和慶、小松一彦の各氏に師事。
 1990年ブザンソン国際青年指揮者コンクールファイナリスト。
 2000年10月10月から1年間、文化庁芸術家在外研修生としてフィンランド・ラハティ交響楽団にて、当時の音楽監督オスモ・ヴァンスカのもと研鑽を積む。
 以後日本とフィンランドを拠点として活動を続ける。
 2015年愛知室内オーケストラ常任指揮者に就任。
 今回が退任コンサートとなる。
 現在日本シベリウス協会第3代会長を務める。国立音楽大学、相愛大学非常勤講師。

 愛知室内オーケストラは2002年に愛知県立芸術大学出身の若手を中心として発足。
 名古屋フィルハーモニー管弦楽団、セントラル愛知交響楽団、中部フィルハーモニー管弦楽団、に続く、東海地方第4のプロオーケストラでしょうか。

 コンサートは2回に分けて、前半は2:00PMから開始され、作曲順に2番、1番、(30分の休憩があって)、3番が演奏されました。
 後半は6:30PM開始で、ソールドアウト(松葉格子)。
 4番と5番の間の休憩が10分と放送されて、みんなビックリ。

 オピッツは見かけによらず繊細な音色で、煌めくような確固とした、堂々としたベートーヴェンを繰り広げてくれました。
 僕としては、5番が一番充実した面白い作品に聞こえました。

 新田さん(以前からの知りあいらしい)の適切なサポートを得たオピッツは、演奏が終わって、喜色満面でガッツポーズ。
 新田さん、オーケストラ、観客みんなが幸せとなった、コロナ禍のコンサートでした。