佐藤しのぶソプラノ・リサイタル
1996年2月27日(火)6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 今年も、佐藤しのぶさんのソプラノ・リサイタル に行って来ました。

 1996年2月27日(火)6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

 開場はほぼ満席。
 2日前には我がオケの定期演奏会があり、自分があの舞台の上にいたのか、と思うと不思議な気持ちがする。

 仕事で遅れ、入場できたのは4曲目、堀正文さんを中心とするN響アンサンブルでモーツアルトのディヴェルティメント・ニ長調。
 僕はこんな曲を聴くためにここに来たんじゃない! と不満に思う。
 もうこの曲には飽きているし、アマでも弾けるような曲、プロがちゃんと弾けるのは当たり前でしょう?
 当たり前のことを見たって聴いたって、面白くも何ともない。

 次は佐藤さんのソロ(ピアノ伴奏)で、『歌に生き、恋に生き』と『ある晴れた日に』。
 で、休憩に入る。

 休憩後はシューベルトの《ます》の変奏曲。
 ここまでは客席も静かで、また去年の冷え冷えとしたコンサートの二の舞か?と心配になる。

 しかしここで、佐藤さんがマイクを持って現れ、トークになり、開場の雰囲気もずっと和む。
 毎年春にコンサートツアーをしているそうで、本日がツアーの最終日。
 そういえば、佐藤さんの話し声にも疲れが見られる。

 後半のテーマはウィーンだそうで、アンサンブルの伴奏で、シューベルトの《アヴェ・マリア》、そして何故か、ドヴォルザークの《母の教えたまいし歌》が歌われた。

 ここでまたトーク。
 堀さんのバイオリンはストラディバリウスだそうだが、私も喉にストラディバリウスがあります、と言って開場に受ける。
 堀さんのストラディバリウスより、佐藤さんの歌声の方がずっと大きい。

 次は堀さんのソロで、クライスラーが3曲。

 そして衣裳を替えた佐藤さんが、ジチンスキーの《ウィーン我が夢の街》とレハールの《ヴィリアの歌》を歌って、プログラムはおしまい。

 アンコールは《私のお父さま》、《踊り明かそう》《ロンドンデリーの歌》。

 佐藤さんの歌は、高い方(頭に響かせるの?)の響きが少しおかしいような気もしたが、素晴らしいんじゃないだろうか。
 どの曲も、声を自由自在に使って、余裕を持って歌っている。
 これは実力がないと出来ないことだ。

 それから、どの曲もクライマックスとか、最後の音を常識外れに伸ばす。
 伴奏が消えても、まだ歌っていたりして。
 私は段取り通りの音楽というのは少しも面白くなくて、こういう予測外れの場面で、音楽家の意志みたいなものを感じて、ジーンと来るわけだ。

 ということで楽しいコンサートではあったんだが、せっかくの佐藤しのぶ/ソプラノ・リサイタル 、もっと歌が聴きたかった。
 トークとアンサンブルで手抜きをされたような気がする。
 去年も同じ歌を歌っていたぞ。
 まあ、会場も盛り上がっていたからいいようなものだが。
 
 佐藤しのぶさん、この次は、しらかわホールの《奥様女中》。
 
 
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