ハンブルグ国立歌劇場来日公演 《リゴレット》
1996年5月23日(木)6:30PM 愛知県芸術劇場大ホール

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 ハンブルグ国立歌劇場来日公演 《リゴレット》
 1996年5月23日(木)6:30PM 愛知県芸術劇場大ホール

 指揮:大野和士  演出:アンドレアス・ホモキ

   リゴレット:フランツ・グルントヘーパー
 マントヴァ公爵:市原 多朗
     ジルダ:バーバラ・ヘンドリックス

 僕はヴェルディがあまり好みではなくて、《リゴレット》の舞台を観るのは今回が初めてです。
 まともに全曲を聴くのも初めてのような気がします。

 なぜヴェルディが好みでないか考えると、彼のオペラはどれもストーリーがおかしい。
 この《リゴレット》も、醜いリゴレットに美しい娘ジルダがいるというところから、公爵の身代わりとなってジルダが殺されるところまで、納得できないことの連続です (^_^; 。

 まあそれはそれとしまして、本日の舞台はなかなか素晴らしいものだったと思います。
 まず、指揮者の大野和士さん。
 自信にあふれた指揮ぶりで、どんどん音楽を引っ張って、思わず見とれてしまいました。
 カールスルーエでの活躍が期待されますし、ワルキューレオフも楽しみです。

 歌い手では、リゴレット役のグルントヘーパーが圧倒的でした。
 この人は以前東京でヴォツェックを見たことがあります。

 ジルダ役のヘンドリックスは、声に細かいビブラートがかかって、違和感がありました。
 マントヴァ公爵の市原さんは、声の通りが悪いようでした。

 演出家のアンドレアス・ホモキはクップファーの弟子だそうです。
 最初にカーテンが上がると、それに付けられた赤いボール(バスケットボールの大きさ)が、ぶら下がります。
 ホモキによれば、これは地球を意味しているんだそうですが、そんなことを気にしなくても、観劇の邪魔にはなりません。
 舞台は抽象的で幾何学的な、かなり狭い空間になっています。

 マントヴァ公爵側の人物は黄色の衣裳、ジルダ側は青い衣裳、リゴレットは白です。
 舞台の上には大きい黄色い王冠が置かれています。

 この公演は、2幕と3幕を連続上演し、二幕構成で行われ、休憩を入れて、2時間半で終わってしまいました。

 演出は、抽象的な舞台にしては比較的妥当なもので、先日の《タンホイザー》の様な、鑑賞を妨げる疑問はあまり感じませんでした。

 1幕第2場に出てくるリゴレットの家ですが、これは青い小屋になっています。
 そして、休憩後の第2幕はマントヴァ公爵の宮殿だと思うんですが、舞台の上には相変わらず青い小屋が置いてあります。
 そして、ここにジルダが入れられて、辱めを受けるわけで、ここがベッドルームになっているようですが、この辺はどうも納得できません。

 しかしながら、グルントヘーパーの名唱と、大野さんの名演に大変満足できた公演でした。

 話は変わって、本日発売の『週刊新潮』の最後に、《タンホイザー》の写真が載っています。
 ヴェーヌスベルグの場面なんですが、記事には、舞台のテレビを見逃すな、と書いてあります。
 このテレビ画面は小さくて、僕は良く見ることが出来なかったんですが、これから御覧になる方は注意されたらいいんじゃないでしょうか (^_^) ?
 
 
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