うた座新作オペラ公演 《ジョバンニとカムパネルラ》 1996年5月26日(日)5:00PM 名古屋市芸術創造センター |
うた座新作オペラ公演《ジョバンニとカムパネルラ》 想稿『銀河鉄道の夜』より 1996年5月26日(日)5:00PM 名古屋市芸術創造センター 原作:宮沢賢治 台本:北村 想 作曲:萩 京子 演出:斎藤敏明 ジョバンニ:大岡 壽 カムパネルラ:児玉珠美 ザネリ・青年:毛利和雄 その他 『うた座』という劇団を見るのは初めて。 プログラムには『旗上げしてから、はや6年』としか書いてないので、名古屋の劇団かどうかも分からない。 でも、萩 京子さんが作曲しているところを見ると、《名古屋版・こんにゃく座》なのかな? 愛知県芸術劇場大ホールの《コシ・ファン・トゥッテ》が終わってすぐ、会場を移動した。 僕は宮沢賢治は、子供の頃『セロ弾きのゴーシュ』を読んで懲りごりしてから、敬遠していて、今回は予習無しで上演に臨んだ。 でもその後、このレポートを書くために、買って、斜め読みしたけれど。 プログラムの短い記述の中から僕が理解したところでは、このオペラは、宮沢賢治の小説を舞台化した、北村想の《想稿・銀河鉄道の夜》をオペラ化したもののようだ。 小説とは、必ずしもストーリーが一致していない。 このオペラは一幕構成で、約2時間。 伴奏は3人で、ピアノが作曲者の萩さん。 クラリネットの橋爪恵一さんとチェロの中田有さんは、東京からの来演。 貧しい少年ジョバンニは、星祭りの夜に、天気輪の駅で、優しい同級生カムパネルラと、銀河鉄道に乗車する待ち合わせをする。 小説では列車の中の出来事が書かれているようだが、このオペラでは、汽車が来るまでの間に、いろいろな幻想的なエピソードが繰り広げられる。 出てくるのは若い尼僧、熊撃ちの子十郎、そして氷山にぶつかって沈没した船に乗っていた子供と家庭教師の青年。 こういう劇の通例として、ストーリーが進んでいかないので、最初は少し退屈したんだけれど、舞台はなかなか幻想的。 見ている内にだんだん分かってきたんだが、このオペラの銀河鉄道は、死んだ人をあの世に運ぶ列車のようだ。 で、最後にはジョバンニを残し、カムパネルラだけが列車に乗る。 そして、カムパネルラが水死していたことが分かる。 萩さんの音楽は、いかにも現代音楽らしい曲から、メロディックな曲までいろいろ。 中でも、家庭教師の青年の長いアリアは気に入った。 この役を歌った毛利和雄さんは、いい声のテノール。 最後に挨拶をしていたから、彼がリーダーなのかも知れない。 結論としまして、これは《想稿・銀河鉄道の夜》の幻想的な雰囲気が出た、なかなかいいオペラだと思います。 僕もその後、小説を読んで、このお話が分かってきましたので、機会があればもう一度(復習の意味を込めて)、見てみたいものです。 |