『おぺらごっこ ’96』
1996年6月1日(土)3:00PM 名古屋市中村文化小劇場

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 『おぺらごっこ ’96』
 1996年6月1日(土)3:00PM 名古屋市中村文化小劇場

 演出・構成・作詞:池山奈都子

 キャスト:夏目久子 千田恭子 水野麻美 大槻博子
      友森美文 佐野文彦 鏑木勇樹
 ピアノ :佐藤真由美

 《海の物語》《堕ちたる天女》の演出で、大変感銘を受けた池山奈津子さんの舞台ということで、出かけてきました。
 会場の名古屋市中村文化小劇場は、秀吉の生まれた尾張中村にありますが、我が家からは、名古屋の反対側になります。
 建物の2階は『秀吉・清正記念館』になっています。
 3階の劇場は定員350人。 満席、立ち見あり。

 さて、この《おぺらごっこ》は副題が『どきっ! のぞかれてますよあなたのハート』ということで、モーツアルトのオペラの曲を使い、それに自由に作詞をして、新しい舞台を作り上げたもの。

 まず、《コシ・ファン・トゥッテ》の男性3人の重唱で、心を覗く眼鏡が現れる。
 この眼鏡は、ピントの合わせ方で、身体の方も見えてしまうようで、バストがないことを見破られた女性が『整形してでもバストが欲しい』と歌う唄は『夜の女王のアリア』(^_^)。

 舞台は『ハート』についての短いエピソードの連続なんだけれど、傑作だったのは結婚していないのに子供が出来て『パパになるのよ』と言われたカップルの唄で、『パパゲーノとパパゲーナの二重唱』。
 『パ・パ・パ』というところがぴったりで、たまらなくおかしかった(^_^)。

 第二部の最初の《モーツアルトの百面相》という曲は、彼の作品を次々と繋いだもので、《フォービッドゥン・ブロードウェイ》の《モア・ミゼラブル》みたい。

 もう一つ傑作だったのは、《心がけ、いい男見ーっけ PART ・》という曲で、《魔笛》の最初の夜の女王の手下の三重唱で、『自分たちでいい男を見つけるしかない』ということで、例の眼鏡で会場を探すと、ひとりの男性客にスポットが当てられた。
 これは、ジャン・カルロ・メノッティ演出の《コシ・ファン・トゥッテ》の時に見られた手法だが、なんと彼は舞台の上まで引っ張り上げられてしまった。
 そして三人は、誰かを選べと歌いながら、彼を誘惑し、番号札を渡して気に入った番号を上げるように要求したりする。
 結局彼の答えが気に入らず、彼は追い返されてしまうんだが(^_^;。

 ちゃんとした照明や振付も付いて、実に楽しい舞台でした。
 7人が横に並んだところは《コーラスライン》を思い出させ、オフブロードウェイのロングラン作品を見ているような印象もありました。

 やはり、池山奈津子さんは才能のある演出家だと、改めて確信しました。
 これはかなり好評を博すと思われるので、次回の公演が楽しみです。

 ここまで読んでいただいた『劇団四季』ファンの皆さん、本日出演の佐野文彦さんは、劇団四季の佐野正幸さんの双子のお兄さんです。
 愛知県文化振興事業団の《回転木馬》以来、久しぶりに舞台姿を拝見しました。
 
 
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