大須オペラ 《ボッカチオ》 1996年7月10日(水)7:00PM 大須演芸場 |
大須オペラ 《ボッカチォ》 1996年7月10日(水)7:00PM 大須演芸場 作曲:フランツ・フォン・スッペ 台本:ジェネー/ツエル 演出:岩田 信市 《軽騎兵》《詩人と農夫》の作曲者として知られるスッペは、1819年、ダルマチア(ユーゴらしい)の生まれ。 その後ウィーンに移り住み、指揮者・オペラ作曲者として活躍。 このオペラの題材となったのは、イタリアの小説家ボッカチオ(1314 〜 1375)。 彼の代表作は『デカメロン』。 僕は当然このお話を読んだことはないんですが、ルネッサンスの時代、人間性の解放としての恋愛物語らしい。 というより、どうもみんな浮気ばかりしているようだ(^_^;。 プログラムの解説によれば、《ボッカチォ》の台本は未整理ながら台東区の下町風俗資料館に保存されていた。 楽譜は世界中どこからも出版されていなかったが、日本オペレッタ協会会長の寺崎裕則氏所蔵のヴォーカルスコアを借りることが出来たそうだ。 舞台はフィレンツェ。 一幕の最初、ボッカチォが床屋の女房ベアトリーチェと浮気しているところに帰ってきた亭主たちがベアトリーチェに呼びかける歌が《ベアトリ姐ちゃん》。 保守的な男たちは、自由な恋愛や性の喜びを謳歌している『デカメロン』を嫌い、本を焼き、風紀を乱すボッカチォを追放しようとする。 そんな中で、ボッカチォとフィアメッタ(大公の娘だが、雑貨屋に育てられている)のカップルが歌う愛の二重唱が《恋はやさし》。 それにパレルモのピエトロ王子が、ボッカチォに弟子入りしたりして‥‥というストーリー。 感想としては、あまりにストーリーが常套的。 例年のような派手な見せ場が少なかったのが残念。 これも、浅草オペラの再現にこだわったためだろうか? こうなると、歌唱力の問題が気になってくる。 ボッカチォ役の間瀬礼章さんは財津一郎さんに似たタイプ。 この人が出てきただけで拍手が起こる人気者。 この公演、毎年20人くらいのオケが付いている。 これは大変なことだ。 僕の計算では、収入の半分近くはオケの人件費で消えてしまうのではないか? それだけの犠牲を払っても、生オケを付けてくれる気持ちが嬉しい。 あまり上手じゃないけれど。 先に不満を書いたけれど、それなりに興味深い舞台で、狭い舞台にバレエまで付 いて、盛り上がったフィナーレを見ていると、また来年も来るぞ、という気になり ますね。 ◇ボッカチォ/千秋楽 本日が大須オペラ《ボッカチォ》の千秋楽でした。 前回(7/10)見たときよりも舞台も演奏もスムースになって良かったんですが、何より千秋楽の盛り上がりがすごかった。 アンコールはいつまでも終わらないし、最後はお客さんも一緒に、劇場前でビールでの乾杯。 出口でビールを配ってました(^_^)。 化粧を落とした役者さんが次々と挨拶して、その度に大きな歓声が飛んでいました。 彼らはロック歌舞伎団だから、屋号があるのね。 『○○屋〜!』なんてね。 ボッカチォ役の間瀬さんは独身なんだだそうです。 ヒロインの杉山さんはこの秋に結婚するんだそうで、婚約者が『子供が出来ても自分が面倒を見て、彼女は舞台に出します!』なんて挨拶してました(^_^)。 終演は4時30分。 僕は一段落した5時から『海老亭』で餃子を食べてきたんですが、5時30分に劇場前を通ったところ、まだ、歌って踊っていました(^_^)。 来年も千秋楽に行かなくては。 |