名古屋オペラ協会日本オペラシリーズ No14 《額田女王》
1996年11月4日(月・休)2:00PM 愛知県芸術劇場大ホール

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 名古屋オペラ協会日本オペラシリーズ No14 《額田女王》
 1996年11月4日(月・休)2:00PM 愛知県芸術劇場大ホール

   作曲・台本  原 嘉壽子
   原作     井上 靖
   指揮と演奏  星出 豊/ナゴヤシティ管弦楽団
   演出     栗山 昌良
 
   額田女王・・・・・・近藤真理子
   中大兄皇子・・・・・澤脇達晴
   大海人皇子・・・・・井原義則
   有間皇子・・・・・・鏑木勇樹
   中臣鎌足・・・・・・川口 豊
   鏡女王・・・・・・・出田光代
   女帝・・・・・・・・中須賀悦子
   老侍女・・・・・・・水谷朋子
   合唱・・・・・・・・ 名古屋オペラ協会合唱団

 開演前に、原 嘉壽子さんのプレトークあり。
 このオペラは第13作目。
 『茜さす‥‥』『紫草の‥‥』の2首の入った続編を考えているとのこと。
 原さんは、カーテンコールでは盛大な拍手を受けていたが、作曲者冥利に尽きるだろう。

 舞台装置は、いくつかの台を組み合わせたもので、昨年の《袈裟と盛遠》に較べると、かなり経済的に作られている。
 舞台の大きさと人数で、スケール感を出している感じ。
 せり上がりはあったが、必然的なものではなく、出来るからやってみた、という程度。
 残念なことに、この劇場の機能を生かした舞台転換も無し。
 この辺は、装置・演出を新宿文化センターのレベルに合わせたためであろう。

 では、オペラについての感想を。

 第1幕は状況説明で終わってしまった。
 額田女王が大海女皇子に抱かれる、月光に照らされた梅林のシーンなんか、『さてこれから』なんて思っていたら、すぐに暗転(^_^;。
 トリスタンとかワルキューレみたいに出来ると思うんだが‥‥

 第2幕は有間皇子のエピソード。
 しかしこれは駆け足で消化不良。
 別にオペラ《有間皇子》を作った方がいいかも。
 原作を読んでいるから、話は分かるんだけどね。

 第3幕からはオペラらしくなってきた。
 第1景の額田女王のアリアは名曲かと思った。

 しかし、何で後ろに 中大兄皇子とか大海人皇子とか、その場に関係のない人物が立っているんだろう?
 中臣鎌足なんか、その存在自体が無くてもいいくらいだ。

 衣裳は《トゥーランドット》と同じ緒方規矩子さん。
 女帝なんか、トゥーランドットが現れたかと思った。
 民衆の服装・仮面は《トゥーランドット》の衣裳を、そのまま流用したのかと思えるくらい。

 歌手はみんなそれなりに良かった。
 額田女王役は大変負担が重いと思うんだが、近藤真理子さんは頑張っていた。
 ヴィジュアル的には、オペラグラスを使わないことで対応させて戴いたが‥‥

 中大兄皇子と大海人皇子は、2月の《こうもり》のA・Bキャストのアイゼンシュタイン。

 総合的な印象では、ちゃんとしたオペラを聴かせていただいた、というところかな。
 でも、栗山さんの演出では、余り出来の良くない方なんじゃないだろうか?
 
 
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