創作ミュージカル《出雲の阿国》 1996年12月4日(水)1:30PM/6:00PM |
《海の子守歌》《堕ちたる天女》《オペラごっこ 96 》の演出で大変感心してファンになってしまった、池山奈都子さんの新演出です。 毎日文化センター40周年・フチモトミュージックスクール10周年記念公演 創作ミュージカル《出雲の阿国》 1996年12月4日(水)1:30PM/6:00PM 作曲:塚本一成 指揮:古谷誠一 演出:池山奈都子 気に入ったので、2回とも見てきました(^_^)。 夜の方が盛り上がりましたね。 お客さんは予想外にたくさん入っていました。 お昼の部は異様に年齢層が高かった(^_^;。 5000円のチケットが2000枚捌けたとして、1000万円か。 大変ですね。 第1部は『Image・阿国』 構成・演出:池山奈都子 阿国に関するナレーションが入るんだが、舞台で演じられるのは『書道』『琴』『ファッションショー(着付け教室ね ^_^)』『太鼓』『生け花』の実演。 毎日文化センター総出演(多分)という感じ。 普通なら退屈するんだが、照明とセリを使った演出で飽きさせない。 さすが池山さん、プロの仕事だ(^_^)。 『書道』の先生の作品《火焔》と『生け花』の先生のオブジェは、第2部《出雲の阿国》の背景として、そのまま使われていた。 『琴』『着付け』『太鼓』は、第2部《出雲の阿国》の劇中アトラクションとして出演。 その上『茶道』の先生は古田織部役で出演して、劇中でお茶を点てていた。 冴えてるでしょう? 池山さんの発想(^_^)。 この『茶道』の先生、セリフをトチッていたけど(^_^;。 いよいよ第2部が 創作ミュージカル《出雲の阿国》です。 これはミュージカルというよりはオペラ。 これは休憩なしで二時間近くかかる大作でした。 ストーリーも音楽もたいへん気に入りました。 作曲の塚本一成さんという名前は初めて見ましたが、名古屋芸術大学の講師をされているそうです。 伴奏はピアノ、バイオリン、チェロ、フルート、鼓。 頃は秀吉から家康の時代。 阿国は出雲の国から、育ての親・三右衛門に連れられて都に出る。 北野の天満宮で踊っていた阿国たちは天満宮の社僧・梅庵の屋敷に留まるようになる。 元能楽師で鼓の名手・三九郎と阿国の仲は急速に深まる。 一方、座員の仙介も密かに阿国に思いを寄せる。 阿国の踊りは評判になるが、三九郎と妹分(本当の妹?)のおみつとの裏切りに遭う。 勝手に劇場を売り払って、駆け落ちしちゃうのね。 阿国は江戸に出ることを決意する。 そこで阿国は、武士で笛の名手・名護屋山三に出会う。 この山三という人はおかしかったな。 出会ったと思ったらすぐ『愛の二重唱』を歌って(仙介もいるのに)、『阿国にふさわしい男になるため仕官する』とか言って行ってしまい、大阪城の戦いで死んでしまう。 これが、あっという間。 原作(って誰?)では重要な人物なんだろうけれど‥‥ 大体この物語、SANとかSENとかいう名前が多いんだよ。 1回では区別できないところもあったな。 やがて阿国の名声は上がり、江戸城に招かれるようになる。 そして、仙介(いい人・優しいんだ)の労咳による死を乗り越えて、阿国は踊り続ける。 最後の二人の阿国(ナレーション用の阿国がいる・夏目久子さん)の二重唱は、本当に美しい曲だった。 そのクライマックスで中央の舞台に上がった阿国に、客席から『阿国!』なんてかけ声が飛んで(絶妙のタイミングだったな)、泣けた泣けた(^_^;。 私はナイ〜ブだから(^_^;。 その舞台で踊り続ける阿国の上には、金色の紙吹雪ね(^_^)。 阿国の上だけだから、《トゥーランドット》の何十分の一だけど(^_^;。 しかしこれは素晴らしい上演だった。 曲も、メロディックな曲からコミカルな曲までいろいろ。 較べちゃなんだが、《額田女王》よりずっと親しみやすく、心にしみる。 この作品がたった一日だけで消えてしまうの? 阿国役の渕本晴都子さんはルックス的には不満もあったが、この人のがんばりでこの上演がされたのかと思うと、感謝の他はない。 池山さんの演出は、大道具はステージ中央に作られた舞台と、台の出し入れだけ。 この舞台が阿国たちの練習場になったり、江戸城の舞台になったりするが、実に動きがリーゾナブル。 また、照明の美しさが印象的。 花道でのセリ上がりという大技もあった。 池山演出、4戦4勝だな。 |