《シークレット・ガーデン》 名古屋公演
1996年12月20日(金)

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 《シークレット・ガーデン》
 1996年12月20日(金)

 本日《日本最終公演》を見てきました。

 僕が初めてこのミュージカルのことを知ったのは、『ミス・サイゴン』が最優秀作品賞賞を取るべきだった1991年のトニー賞授賞式。
 デイジー・イーガンが助演女優賞を取った時ですね。
 いくつかのハイライトシーンを見て、なかなか美しい曲が多いようなので『何とか全曲を聴いてみたい』と情報を集めて(知識が乏しかったものだから、苦労した)、やっと渋谷の《すみや》から輸入盤を購入する事が出来ました。

 『いつかはブロードウェイに見に行きたいものだ』、と思っていたけれど(終わってしまったみたいですね)、このたび日本公演が(しかも名古屋公演が)ある、ということで喜んでしまって、3日分チケットを手配して、早速予習を始めました。

 まず文庫本を買って読む。これが、メアリーの両親がコレラで死んでしまうまで1週間の間メアリーが眠り続けていたとか、子供たちが毎日花園の手入れに出かけるのに、大人たちはそのことに全く気がつかないとか、無茶苦茶なお話。

 さて、次は昨年秋に公開された映画で、これがまたおかしい。
 メアリーの両親が地震で死んだことになったり、花園の鍵をタンスの中から見つけたり、意味のない変更がたくさんある。
 それにこの映画はスピルバーグ監修というだけあって、突然SFXになったり、オカルトになったりする。
 一番驚いたのはメアリーの母親とコリンの母親が双子の姉妹だったという設定で、唖然としてしまった(本当に意味がないんだ)。
 それに肝心の花園がごてごてして、ちっとも綺麗じゃない。こういうのが西洋人のセンスか?

 さてミュージカルでは、原作のクレイブン先生(アーチボルトの親戚でコリンの主治医)が、アーチボルトの弟になっていて、しかも姉のリリーを慕っていたという役柄に変わっている。そんなに悪い人とも見えないが、子供たちに嫌われてかわいそう。
 コレラはね、1日でみんな死んだことに変更されていたけれど、それもあんまりだ。
 あとは、学校に入れるエピソードは原作にもないし、カットしたほうがよかった。
 魔法でコリンの病気を治す話も原作にはなかったけれど、これはまあいいでしょう。

 舞台を見ての感想は、なかなか良かったですよ。
 でも、せりふの所も全部音楽にして欲しかったですね。
 あとは、幽霊がじゃまだったな。リリーひとりならいいんだけれど。
 せめて回想シーンだけにするとかね。インド人の幽霊がヨークシャーにはいないと思うんだけれど。

 やっぱり、音楽が良かったですね。いい加減な話でも音楽で感動させられるのがミュージカルのいいところだな。
 《リリーの瞳》という曲が盛り上がる曲なんだけれど、男二人で歌うのには笑っちゃったな。恋人同士が歌うラブシーンの曲にして最後のクライマックスでは抱き合わないとね。何か変だったな。

 あとは、子供が良かったですね。本当に上手。
 特にメアリーの小さい方が健気で健気で、ジーンと来ましたね。

 最後は舞台に『SEE YOU AGAIN さようなら』という幕が出て、カーテンコールが何度も続いていました。
 
 
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