神戸オペラ協会第16回公演 《祝い歌が流れる夜に》 1997年2月2日(日)2:00PM 尼崎アルカイックホール |
祝い歌が流れる夜に/神戸オペラ協会 原嘉壽子さんの代表作《祝い歌が流れる夜に》を見に、尼崎アルカイックホールに行って参りました。 初めて入ったアルカイックホールはロビーはすこし狭いが、ステージは横幅が広くて、舞台装置も横に長いスケールが大きいものでした。 神戸オペラ協会第16回公演 《祝い歌が流れる夜に》 1997年2月2日(日)2:00PM 尼崎アルカイックホール 総監督:畑中良輔 指揮:中村 健 演出:菅沼 潤 演奏 :エウフォニカ管弦楽団 しま :垣花 洋子 金沢公一郎 :平野 忠彦 その妻・艶子:大西知代 長男・謙一 :西田 明広 その妻・雅江:帯刀 享子 長女・みどり :吉田亜矢子 婚約者・義男:馬場 清孝 しまの息子・博:細川 勝 植村 正造 :新田 英開 その妻・靖子:加藤木起司子 しまの母親 :萩原 良子 女中・キヨ :堤 順子 指揮の中村さんは東京芸大出身で神戸女学院大学助教授。 演出の菅沼さんは宝塚の演出部出身。 場面転換などもそつが無く、さすがベテランの技だと思いました。 ついでに、作曲の原さんは同志社女子大学教授。 さて、ではあらすじと感想を書いていきましょう。 ネタバレバレだから、気を付けて。 時は昭和50年頃。 場所は芦屋の高級住宅街。 使用言語は関西弁だったが、これは関西公演用のバージョンらしい。 当主の大実業家・公一郎の娘・みどりと青年実業家・義男の結納が済んで、祝宴となる。 公一郎(当主)の後妻・艶子は芸者上がり。 公一郎の息子・謙一はできが悪いので、子会社に左遷された。 謙一の妻・雅江は元看護婦で、先妻の最後を看取った。 そこに現れたのが元女中のしま(主人公)。 彼女は邸宅に招き上げられ、みどり(公一郎の娘)の依頼で、インドネシアの子守歌を歌う。 そのとき舞台中央、紗幕の後ろに、南方のある島の洞窟が現れる。 アメリカ軍に追いつめられ、軍人と民間人が一緒に入った洞窟には、赤ん坊を抱いた母親と7〜8才の女の子がいる。 軍人は泣く赤ん坊の口をふさぐように命令し、赤ん坊は死んでしまう。 ここで第1幕がおしまい。 面白いかな (^_^;? さて、第2幕では、驚くべき事実が次々と明らかになる。 しま(元女中)は謙一(公一郎の息子)との間に子どもが出来、屋敷を去ることになったのだ。 謙一から二人の間の子どもはどうしたと聞かれて、しまは『ヒロシは死にました』と答える。 場面が変わって、みどり(公一郎の娘)の部屋に男が押し入る。 みどりはこの男をボーフレンド・博として、家族に紹介する。 公一郎(当主)は博を蔵座敷に誘い、事情を問いつめる。 そこに現れた義男(みどりの婚約者)は博を銀行強盗だとして、殴打し縄で縛る。 しかし、みどりは博を逃がしてしまう。 博は謙一(公一郎の息子)としま(元女中)との間に産まれた子供だったのだ。 彼はブラジルに渡る前に、父親の顔を見に来たのだ。 この事情を知った雅江(謙一の妻)は取り乱し、しまと博をこの家に迎え、自分 が出て行くと言い、公一郎の先妻が自殺だったのだと暴露した。 しらばくれる艶子(公一郎の後妻)に対し、雅恵は証拠の遺書を取り出す。 この辺りは、午後のTVドラマ『真夏の薔薇』の世界。 聞きとりにくい日本語に対して、聞き耳を立てずにはいられない (^_^;。 簡略化したけれど、実際はもっともっと複雑な話なんだ。 はじめてこの事実を知った公一郎(当主)は激怒し、皆を家から追いだし、ここ に金沢家は崩壊してしまう。 公一郎はしま(元女中)に対し、なぜ謙一(公一郎の息子)の子どもを生んだのか尋ねる。 と、ここでますます驚くべき事実が明らかになる。 しまは南の国の洞窟で(1幕最後を思い出して下さい)軍人だった公一郎の命令で赤ん坊を死なせてしまった母親の娘だったのだ! 彼女は復讐のため金沢家に住み込み、公一郎の息子・謙一の子どもを生んだのだ (@_@)!! これは『金田一少年の事件簿』の世界、いやいや《イル・トロバトーレ》の世界ではないか! 完全に打ちのめされる公一郎。 そこに『銀行強盗が射殺された!』との知らせが届き、しまは放心して倒れる。 これでおしまいです。 見ているときは引き込まれていたんですが、終わってしまえば『何だこりゃ?』ですね。 後ろの席から『暗いね〜』という声が聞こえました。 しかし、これはかなり充実した上演で、名古屋から遠征した甲斐もあるというものです。 カーテンコールで演出の菅沼さんが『射殺された銀行強盗は別人で、博は無事ブラジルに旅立ちました』とコメントされたので、場内の雰囲気が和みました (^_^) 。 |