大須オペラ 《カルメン》 大須演芸場
1997年7月9日(水)7:00PM

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 今年も名古屋の夏の風物詩(と新聞にも書かれるようになりました \ (^o^) /)、『大須オペラ』が、7月8日から始まりました。
 毎年、同じ説明ですが ‥‥‥‥(^_^;、

 大須というのは名古屋の下町。
 大須観音の門前町で、浅草に大変良く似ている。
 その大須に大須演芸場という寄席がある。
 古い建物で、客席は150席くらい。

 ここは赤字経営で、よくつぶれそうになり、ミヤコ蝶々とか古今亭志ん朝とかが友情出演したときだけ満席になるという記事が、よく新聞に載っていたものだ。
 最近は、この手の記事を見ないが、どうなったのかな?

 5年前から夏になると、この大須演芸場では《浅草オペラの再現》を目指し、オペレッタが上演されている。
 中心となっているのは名古屋を中心にして活動している、スーパー一座というロック歌舞伎団(スーパーはスーパーマーケットのスーパーで、『どこにでもある』という意味だそうだ)。

 今まで《ミカド》《ベニスのゴンドラ乗り》《ペンザンスの海賊》というギルバート台本、サリバン作曲のオペレッタ、そして一昨年は《三文オペラ》、昨年は《ボッカチオ》が上演されてきた。
 そして、今年の演目は《カルメン》。
 初の本格的オペラということで、彼らの歌唱力を心配しながら (^_^;、見に行ってきました。

   大須オペラ《カルメン》 大須演芸場    3500円 
    1997年7月9日(水)7:00PM 〜 9:40PM

       演出:岩田 信一  指揮:宮脇 泰

   カルメン:征矢野敦子   ドン・ホセ  :佐藤 裕二
   ミカエラ:杉山 佳重   エスカミーリオ:間瀬 礼章

 先ず書いておきたいのは、舞台の狭さ。
 元々が寄席の舞台だから、間口で、横8メートル、高さ2.5メートル、奥行き4メートル、と言っておきましょうか。
 ここに最大20人くらいが出場するんだから、なかなかの人口密度です (^_^) 。

 この公演が何より嬉しいのは、生のオーケストラを付けてくれること。
 今回の編成は、バイオリン:2名  フルート(ピッコロ持ち換え):1名
 ソプラノサキソフォン:1名  アルトサキソフォン:2名  ホルン:2名
 ユーフォニウム:2名  トランペット :2名  バスチューバ:1名  
 コントラバス :1名  パーカッション:1名  キーボード :1名 の16名。

 コンサートマスターの宗川くんの話では、学生その他のメンバーで、指揮の宮脇さんはフリーの作曲家だそうです。
 僕の計算では、生オケを付けるために、入場料収入の3分の1は飛んでいく勘定ですね。
 しかし、今年はチケットの売れ行きが良くて『初めて赤字を出さずに済みそう』とのことです。

 僕の席は最前列の上手寄り、オケのユーフォニウムが目の前です。
 どれくらい近いかというと、譜めくりが出来そうなくらい (^_^) 。
 いつもは、最後列のドア近くが好きなんですが、大須オペラだけは、そんなことは言っていられません (^_^) 。
 ユーフォニウムのお兄さんとは、幕間に、いろいろお話をしました。

 さて、演奏は、公演が始まって2日目ということで、まだ馴染んでいないし、オケもバラバラ。

 カルメン役の征矢野敦子(せやのあつこ)さんは、初めての主役。
 カルメンらしい妖艶さに欠け、むしろ幽霊役が似合うタイプ (^_^;。
 舞台を積むことにより、カルメンらしさも出てくることでしょう。

 ドン・ホセ役の佐藤裕二さんは、フィナーレなんか、鬼気迫る演技を見せてくれました。
 エスカミーリオ役の間瀬礼章さんは、舞台に現れるだけで拍手が湧く人気者。
 エスカミーリオにはぴったりでしょう。

 第4幕にはバレエが挿入されており、『ファランドール』と、もう一曲・知らない曲。
 ユーフォニウムのお兄さんの話では、ビゼーの曲を引用したんだそうです。

 演出は、狭い舞台を上手く使った正統的なもの。
 フィナーレのカルメンが刺される場面では、闘牛場から出てきた人がふたりの間に割って入り、ホセを羽交い締めにするところが、珍しかったでしょうか。
 結局、ホセはそれを振り切って、カルメンを刺しちゃうんですが。

 しかし、舞台からあふれる下町パワーは相変わらず (^_^) 。
 合唱や、踊りの場面の迫力は圧倒的です。
 彼らが目指す『浅草オペラ』もこんな雰囲気だったのでしょうか?

 僕は毎年、夏のオペラと冬の歌舞伎に通っているものですから、見覚えのある顔が多くて、歌が下手な人には『がんばって〜!』と応援したくなっちゃいますね。
 まあ、この公演は28日までの長丁場。
 ときどき見に行って、彼らの成長する姿を見届けたいと思っています (^_^) 。
 
 
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