《後宮よりの逃走》
1997年9月20日(土)愛知県芸術劇場大ホール

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            《後宮よりの逃走》
     1997年9月20日(土)愛知県芸術劇場大ホール

      指揮:沼尻 竜典(りゅうすけ)
      演出:鈴木 敬介(原演出:ルドルフ・R・ゼルナー)
      演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団
          AC合唱団

            セリム(トルコの太守):早川 桂
    コンスタンツェ(スペイン貴族の娘):山本 佳代
      ブロンデ(コンスタンツェの侍女):平山 留美子
    ベルモンテ(コンスタンツェの恋人):波多野 均
        ペドリロ(ベルモンテの従僕):毛利 和雄
      オスミン(太守の後宮の庭園長):戸山 俊樹

 僕はモーツアルトのオペラは《コシ・ファン・トゥッテ》意外はダメ。
 この《後宮よりの逃走》も、残念ながら気に入らなかった。

 まず、ストーリーが面白くない。
 男に捕らえられた女を恋人が助けに行き、一緒に捕まえられて、女が命ごいというのは、隣の名古屋ミュージカル劇場でロングラン上演中の《オペラ座の怪人》と同じ。
 《オペラ座の怪人》では10分あまりのエピソードを、この《後宮よりの逃走》では2時間半もかけるので、これでは退屈するのも当然だろう。

 お話は芝居の部分で進むため、アリアや重唱になると時間が止まってしまう。
 『もう歌は止めて、さっさと話を進めて欲しい』と思うこともしばしばだった。

 つまり、このオペラを楽しむには、歌を楽しむしかないわけだ。
 それにしては、歌は非力だろう。
 地元のメンバーは頑張ってはいたんだろうが。
 コンスタンツェのアリア(難しそう)に『ブラヴォー!』と叫んでいた男性がいたが、サクラみたいで嫌だったな。

 鈴木演出は、今までに《夕鶴》《さまよえるオランダ人》《愛の妙薬》と見ているが、いずれも気に入らなかった。
 そしてまた今回の《後宮よりの逃走》もその仲間入りだ。

 まず、舞台転換がない。
 背景が少し変わるだけかな。
 鈴木さんにはこの劇場の舞台機構を利用する気が全くないわけで、これは僕には驚くべきことと思われる。
 栗山演出の《トゥーランドット》が、つくづく懐かしい。

 キャストに付けられた振付も、常識的なものばかりで、学芸会を見ているような気になった。
 セリムが只のおじいさんで、高貴さが感じられないのは致命的だろう。

 まあ安い値段(3階で 5000 円)で初めてのオペラを見ることが出来たので、良しとしようか。
 苦手なモーツアルトのオペラということで、予習無しで行ったんだが、僕の席には通路の誘導灯がついていて、それでパンフレットを読みながら鑑賞できたのは助かった (^_^) 。

 1幕2幕は続けて上演された(100分)。
 日本語による上演で、TVの《忠臣蔵》より歌詞は聞き取りやすかったが、内容を理解するには集中力が必要。
 途中から聞き流してしまった (^_^;。
 
 
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