山田耕筰作曲 オペラ 《香妃》
 1997年10月24日(金)6:30PM しらかわホール

「REVIEW97」に戻る  ホームページへ
 
 
         オペラ 《香妃》
  作曲/山田 耕筰  原作/長与 善郎
 1997年10月24日(金)6:30PM  しらかわホール

 指揮:山田 信芳 演出:池山奈都子 ピアノ:佐藤真由美

   乾隆帝(清朝六代の皇帝):山田 正丈
    香妃(ジュンガルの王妃):盛  かおる
   孝聖憲太后(乾隆帝の母):夏目 久子
    高成齢(乾隆帝の侍従) :安田  健
       楊(宦官)       :井原 義則
       アミヨォ(神父)    :鏑木 勇樹
     朗世寧(画家・神父)  :友森 義文
      ブノア(技師・神父)  :松崎 廣幸
     侍女(香妃の侍女)   :取越 由美子
       陰の声         :長屋  恵

 開演15分前に会場に到着。
 2階最後列を確保したが、気が付けば後ろには二重三重の立ち見客が (@o@)。

 開演前に、山田耕筰研究所代表の後藤暢子さんの解説があった。

 《香妃》は山田耕筰最後のオペラで、第二次大戦終戦後間もない1947年1月には全曲のスケッチを完成した。
 しかし、彼はその翌年(62才)脳卒中の発作で倒れ、左半身不随となった。
 彼は若い作曲家の團伊玖磨に完成までの仕事を託した。
 初演されたのは山田耕筰の十七回忌の1981年12月。

 今回の公演は、山田耕筰が残したピアノスケッチによるもの。

 台本は長与善郎の小説『乾隆御賦』による。

 構成は序幕と全4幕。
 舞台の両脇に合唱団。

 序幕
 清の最盛期、乾隆帝の宮殿にはヨーロッパの宣教師達がいる。

 第一幕
 世のはかなさを嘆く帝に、宦官の楊が耳寄りな話を持ち込んだ。
 トルコ生まれでジュンガルの王妃が美人で、かぐわしい香りを持つという。
 『ワキガではあるまいな?』という帝のセリフが笑わせた (^_^) 。
 帝は香妃の略奪を命令する。

 第二幕
 香妃は捕らえられ、夫の生死も分からない。
 ここで僕は仕事の疲れのため、昏睡状態に陥ってしまった。
 この部分の音楽が良かったという評判であったのは、無念であった (^_^;。

 ここで休憩。

 第三幕
 香妃は帝に心を開かない。
 しかし、彼女を思う帝の言葉には心を動かされる。

 第四幕
 香妃の夫アムルサナが死んだという知らせが届き、消えかかる憎しみの炎を掻き立て、彼女はアラーの神に復讐を誓う。
 乾隆帝の寝所に向かう香妃を皇太后が呼び止め、身体を調べると短刀が見つかる。
 皇太后の詰問に香妃は故郷と夫への思慕の歌を歌って短刀で胸を刺す。

 そこへ帝がなぜかしら、刀を持って飛び込んでくる。
 皇太后は乾隆帝にちゃんと仕事をするよう戒める。
 そして、帝に対しアミヨォはヴォルテールが帝の『盛京賦』を激賞したことを伝え、哀歌の合唱で終幕となる。

 いかがでしょう? どういうオペラか、少しはお分かりいただけたでしょうか (^_^) ?

 まあ、僕としては、珍しいオペラを見ることが出来て、満足でした。
 曲も、それほど難解な曲ではありません。

 しらかわホールは室内オペラが上演できるような証明設備を持っています。
 それにしては、池山演出は普通だったでしょうか。
 舞台に光と陰を作りだし、場面に深みを出しているとは思いましたが、今までのようなびっくりするようなアイディアはなかったですね。
 まあ、驚かすだけが演出家の仕事ではありませんからね (^_^;。

 歌は特に不満を感じませんでした。
 曲の方に気を取られていたから。

 このオペラ最後の部分、香妃が死んでからが長かった (^_^;。
 その間、香妃は倒れたまま。 照明を当てられて。
 そこで歌われているのは皇太后のお小言と、ヴォルテールが帝の『盛京賦』を激賞した、という手紙なんだだものな (^_^;。

 團伊玖磨さんがオーケストレーションしたということですが、これが《建・TAKERU》のラストシーンに影響を与えた、ということはないんでしょうね (^_^;。
 
 
「REVIEW97」に戻る  ホームページへ