うた座新作オペラ公演 《SMILE・いつの日か、ひまわりのように》
1997年11月15日(土)2:30PM 名古屋市芸術創造センター

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  うた座新作オペラ公演 《SMILE・いつの日か、ひまわりのように》
  1997年11月15日(土)2:30PM 名古屋市芸術創造センター

    作曲:萩 京子  台本:鄭 義信  演出:斎藤敏明
    サックス:服部吉之  ピアノ:服部真理子

    ケント:毛利和雄  ボタン(子):海田美奈子
    ボタン(大人):大岡 壽  ユリ:池田美子  ドクダミ:小栗久史
    ホクロ:林 絵理子  サヨコ:長尾裕子  女教師:下間栄子

 作曲の萩さんは、『こんにゃく座』の座付き作曲家。
 前回のうた座公演《ジョバンニとカンパネルラ》も萩さんの作曲であった。
 YUH さんお薦めの《金色夜叉》は、今夜熱海で上演されるようだ。

 台本の鄭 義信(チョン・ウイシン)さんは映画『月はどっちに出ている』で、キネマ旬報脚本賞を取った方だそうだ。

 さてこの新作オペラは、題名からはとても想像もできないほど、暗いオペラであった。
 製作途中でストーリーが変わってしまったとか。
 戦中と戦後が入れ替わり出てくる構造なんだが、時間の流れに沿って簡単に説明しよう。

 時は戦争が間近に迫る頃。
 ボタンは自分のことをいつか月に還るウサギだと思っていて、飛行機乗りになりたい女の子。
 父親は無く(戦死したのかな?)、病気の母親と暮らしている。

 彼女の友達のケントはハーフの男の子。
 金髪のためいじめられ、身の安全のため家に閉じこめられる。

 やがてクラスの友達は疎開していく。
 そして空襲があり、ボタンの母親とケントは、火の中で死んでしまう。

 戦後、一人残されたボタンは、ユリ・ドクダミの二人と旅一座を組み、ど突き漫才で村を廻る。
 そんなボタンを、ケントは死んでからも見守っている。
 SMILE‥‥それはケントが教えてくれた愛と希望の呪文。

 以上です。 おもしろい (^_^;?

 僕には戦争・空襲・旅一座という設定が、今の時代にマッチしないアナクロニズムに思われました。
 今、この様なオペラを製作する意義とは何なのでしょうか?
 とはいえ、新作オペラを作って上演するためには多大なエネルギーが必要なはず。
 うた座の努力には敬意を表したいと思います。

 戦後の場面は旅一座のど突き漫才の練習。
 ここは結構面白かったんだが、なんと、松の屏風の前での『金色夜叉』は熱海の海岸 (@o@)。
 前にも書いたが、萩さんのオペラ《金色夜叉》は今夜熱海で上演予定。
 萩さんは、よほどこの題材が好きなのであろうか (^_^) ?
 萩さんの音楽はナイーブで、好ましいものでした。

 一幕もので、2:30PM開演、4:15終演。
 5PM開演の《トスカ》には余裕を持って、間に合いました。

 カーテンコールには、作曲、台本、演出の皆さんも舞台に上がっておられました。
 こういうカーテンコールを見ると、『やはりこのオペラを見ておいて良かった』と思いますね (^_^) 。
 
 
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