《フィガロの結婚》 名古屋市文化振興事業団98企画公演
 1998年2月18日(水)6:30PM 名古屋芸術創造センター

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 名古屋では例年2月に、名古屋市文化振興事業団主催のオペラ(もしくはミュージカル)公演が行われております。
 今年の演目は《フィガロの結婚》で、2月14日から21日までに、12公演 (@o@) が予定されています。
 会場の名古屋芸術創造センターは定員600人くらい。
 全部満席なら7200人が見ることになりますね (^_^;。
 今日も500人くらいは入っていたでしょうか。

 思い返せば、《フィガロの結婚》を見るのはベルリン国立歌劇場名古屋公演のテオ・アダム演出以来ではないかな?
 これ、何十年前のことか分かる (^_^;?
 あれは出番になった人が前に進み出てスポットを浴びて歌う、という最低の演出。
 これが原因でしばらくオペラを見なくなったような気がします。

 さて、ということで僕は《フィガロの結婚》が苦手なんですが、オペラ上演の少ない名古屋では演目の選り好みなど出来ようはずもありません。
 今回の演出は藤原歌劇団《椿姫》で感心した松本重孝さんということで、苦手な《フィガロの結婚》でも何とかなるか、と期待したんですが‥‥
 ダブルキャストのAキャストです。


 《フィガロの結婚》 名古屋市文化振興事業団98企画公演
 1998年2月18日(水)6:30PM 名古屋芸術創造センター

   指揮:牧村邦彦  演出:松本重孝  訳詞:中山梯一

     フィガロ:林 剛一   スザンナ:内田 恵美子
     アルマヴィーヴァ伯爵:新美 真琴
            伯爵夫人:荻野砂和子
    ケルビーノ:味岡真紀子  バジリオ:井原 義則
  マルチェリーナ:野々山香   バルトロ:石川保
 ドン・クルツィオ:石黒廣城  アントニオ:志村俊人
  バルバリーナ:海田美奈子

 今回のキャストで、声・演技の両面でオペラになっていたのはフィガロだけ。
 伯爵が椅子に隠れたケルビーノを見つけて驚く場面なんか、笑いを取る場面なのに会場が寒かった。

 プログラムの「キャストの一言」で、荻野さんが『楽しく馬鹿馬鹿しく、吉本新喜劇を観るように面白がっていただけるといいのですが‥‥。全部はずれたらどうしよう!』と書いているけれど、完全にはずれたな (^_^;。

 期待していた松本演出だが、演出家にはキャストをまともな演技が出来るように指導する責任があるのではないか?
 舞台装置にも不満は多かった。
 例えば、伯爵の部屋には扉がなくて、代わりにロープが張られている。
 で、ケルビーノが奥の部屋に隠れるときは扉の取っ手を回すジェスチャーをして、実際にはロープを外すのね。
 これが何ともいえずチープな印象。
 壁を作るのにはお金がかかるだろうが、『どこでもドア』みたいな小さな扉を作ることは出来たのでは?

 中山梯一さんの訳詞も、もう古すぎると思う。
 最初の曲なんか、『3尺、4尺‥‥』とか歌うんでしょう?
 一尺が何センチなのか、知ってる人がいるの (^_^;?

 伯爵夫妻の会話でも(夫)『どうしましたか?』(妻)『いえ、何でもありませんわ』って歌うんだよ。
 そんなの夫婦の会話じゃないでしょう (^_^;?

 しかし、数十年ぶりに《フィガロの結婚》を見て、ほとんど忘れていたこのオペラの内容を改めて知ることが出来たのは収穫でした (^_^) 。
 
 
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