名古屋芸術大学オペラ公演20周年記念 《蝶々夫人》
1998年3月14日(土)6:30PM 愛知県芸術劇場大ホール

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 名古屋芸術大学オペラ公演20周年記念
 ジャコモ・プッチーニ《蝶々夫人》 原語上演(日本語字幕付き)
 1998年3月14日(土)6:30PM
 愛知県芸術劇場大ホール  入場料:1000円 (^_^)

  総監督・演出:津田 孝雄  指揮:カルミネ・カリーズィ
  蝶々夫人:小林 玲子(特別出演)  スズキ:菅沼 綾子(教員)
 ピンカートン:山田 正丈(教員) シャープレス:澤脇 達晴(教員)
   ゴロー:中井 亮一(声2年)  ボンゾー:須賀 英明(声3年)
  ヤマドリ:粂野 好典(声3年)   ケート:長谷川 尚美(声4年)

 名古屋芸術大学のオペラ公演も今年で20周年。
 《ボエーム》《ミカド》《メリー・ウィドウ》と例年レベルの高い公演で、今年も楽しみに待っていた。
 僕はプッチーニ好きなんだが、考えてみれば《蝶々夫人》というオペラを見るのは、ほぼ初めて (^^ゞ。

 自由席ということで少し早めに行ったんだが、1〜3階はもう満席で、僕の席は4階の後ろ。
 この調子では5階まで、超満員なのではないか?

 演出の津田孝雄さんは名芸大の教授にしてオペラ研究室室長。
 舞台(立派)も演出も全くオーストドックスで、細やかな気配りの行き届いたもの。
 これでこそプッチーニの音楽を楽しむことが出来るというものだ。

 僕は1幕最後の二重唱が大好きなんだが‥‥泣けて泣けて。
 高いオペラに憤慨することもあれば、安いオペラに素直に感動できることもある。
 会場が明るくなる前に涙を拭かなくてはね (^_^;。

 指揮のカルミネ・カリーズィはイタリアの指揮者で、イタリアを中心にオペラ,オーケストラの指揮をしているそうだ。
 イタリアの地方オペラのレベルが分かるというものだ。
 キビキビした指揮だったが、少し夢がないか?
 オケもコーラスも学生で、技術的に問題もあるんだろうが、善戦していたんじゃないだろうか。

 蝶々さんの小林玲子さんは名芸大の卒業後、1981年ミラノに留学。
 現在ミラノに在住で、バーゼル,ボルドーなどヨーロッパのオペラハウスで蝶々さんを演じている。
 この人は声が小さい。ヨーロッパのオペラハウスでは日本人の蝶々さんということで有利な面があるのだと思う。
 しかし、さすが経験豊富で役作りはしっかりしていた。

 一番良かったのはピンカートンかな。
 スズキ,シャープレスもいい味を出していた。

 驚いたのがゴロー役の中井亮一クン。 声は良く聞こえるし芝居も上手。
 とても大学2年生とは思えない。

 休憩時間に総監督の津田さんにお話を聞くことが出来た。
 準備期間は2年。 イタリア語が大変だった。
 指揮者が来たのは10日前‥‥等々。

 第二幕以降は作品の出来が悪いと思うので、映像でもまともに見たことが無いんだが、現実を認識できない蝶々さんの頭の悪さは不愉快。
 こんな女性を日本人の代表にされてしまって。
 しかし軽薄男のピンカートンを欧米人の代表にされてしまったのは、欧米人にとっても不本意だろうね。

 などと、思いはついついオリンピックの開会式に (^_^;。
 考えてみれば、これから日本人が《蝶々夫人》を見るときには、どうしても伊藤みどりの奇妙な衣装を思い出してしまうわけで、浅利慶太さんも罪なことをしてくれたものです。

 第二幕以降はほぼ初見だったので、蝶々さんが子供を抱いて現れたときにはショックを受けた。
 『おお、《ミス・サイゴン》と一緒だ!!』ってね (^_^;。
 《ミス・サイゴン》は何度も見たことがあるから。

 昨年末にロンドンで見た《ミス・サイゴン》で、キムの子供が東洋人だったのはおかしいと思っていましたよ。
 今日の子供はちゃんと金髪。
 歌詞でも『金色の髪、青い瞳』となっていたものね。

 カーテンコールは学生公演らしくて良かった。
 『ボンゾ〜!!』なんて掛け声が飛んだりして (^_^) 。
 蝶々さんが子供を連れて現れて‥‥また涙 (^_^;。

 このオペラ、18日(水)には津公演が予定されています。
 
 
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