名フィル第235回定期演奏会 《ワルキューレ》
1998年3月22日(日)3PM 名古屋市民会館大ホール

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    名古屋フィルハーモニー交響楽団第235回定期演奏会
      ワーグナー作曲 《ワルキューレ》
   1998年3月22日(日)3PM 名古屋市民会館大ホール
 
         指揮:飯守 泰次郎 演出:鈴木 敬介

           ジークムント:田中  誠
           ジークリンデ:佐藤 しのぶ
           フンディング:大澤  建
            ヴォータン:勝部  太
             フリッカ:寺谷 千枝子
          ブリュンヒルデ:緑川 まり

   ヘルムヴィーゲ:羽根田宏子     ゲルヒルデ:田中 三佐代
     オルトリンデ:新居 佐和子  ヴァルトラウテ:岩森 美里
    ジークルーネ:佐藤 志保    グリムゲルデ:水野 恵子
 シュヴェルトライテ:加納 里美     ロスヴァイセ:服部 真紀


 金山の駅を降りて地下通路を歩いていくと、『本日の当日券はありません』という掲示があった。
 名フィルの《ワルキューレ》が売り切れとは嬉しいことだ。

 もう一つ、思いもかけず(飛び上がりたいほど)嬉しいことがあった。
 本日の公演は演奏会形式とのことだったが、ちゃんとしたオペラになっていたこと。

 オーケストラの後ろに10×5メートルくらいのステージが組んであって、その上で舞台衣装を着て、演技付きで(もちろん楽譜なしね)の上演。
 プロンプター付き。
 照明もそれなりのもの。
 オケの譜面台には、譜面台用の照明がついている。
 
 
 まず、佐藤しのぶさんのジークリンデから書こうかな。
 オペラ通の方のお話では、佐藤さんは初役とか。
 豊かな声、美しい舞台姿、抜群の演技力(ステージから落ちるのではないかと心配になった位)で、僕としては文句無しだな。
 一幕後半なんか、佐藤さんが歌い出す度に鳥肌が立った。

 舞台には反響板があったんだが、後ろだけは幕になっていて、『冬の嵐は去り』の場面ではその幕が上がって、春の光が射し込む仕組み。
 舞台中央にはノートゥンクが刺さったオブジェも立っていた。

 その他のキャストも(ワルキューレ達も含め)、みな立派な出来だったと思う。
 ヴォータンはその重要性から見ると、少し声が小さいか?
 緑川さんは3幕後半が良かった。
 一昨年の《ワルキューレ》の時と較べると、体型がちょっと‥‥ (^_^;

 この定期演奏会は、5年間常任を勤めた飯守泰次郎さんの『さよなら公演』。
 飯守さんが常任になったとき『これで名フィルでもワーグナーが聴けるか』と期待はしたが、まさか《ワルキューレ》まで行けるとは。
 感謝の他はない。

 で、指揮とオケは出だしから緊迫感に満ちたもので、素晴らしかった。
 一幕終了時から『ブラヴォー!』の嵐だ。
 二幕終了時は演技用のステージにまで呼ばれて、ソリストと手をつないでの挨拶。
 あれでは終演後のカーテンコールだな (^_^) 。

 第三幕『ヴォータンの別れ』のクライマックスで父娘がひっしと抱き合うと、目の前がボーっとしてくる。
 ヴォータンがブリュンヒルデを舞台奥に横たえて、ローゲを呼び出すと、舞台奥から照明が炎になって、やがて反響板も含めた舞台全体に広がる。
 このような形でも、けっこう大きいスケールが出るものだ。

 終演後は熱狂的な拍手・歓声が、ソリストに、飯守さんに、いつまでも続いていた。
 3時開演で、終演は7時20分。
 僕は5時開演の《レ・ミゼラブル》とダブルブッキングしていたので、早く会場を出なくてはならなかったのだが、立ち去り難くて最後まで拍手していた。

 7時30分、会場を飛び出してタクシーに飛び込む。
 ありがたいことに、この運転手が赤信号になってもビュンビュン飛ばす人で、10分もかからずに中日劇場に着いてしまった (@o@)。
 レミゼの観劇は『ジャベールの自殺』の場面から。
 大好きなレミゼだが、ワーグナーに較べると、音が薄いような気がした (^_^) 。
 
 
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