劇団四季 《アスペクツ・オブ・ラブ》
1998年8月23日(日)1:00PM 大阪/MBS劇場

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 MBS劇場入り口には背広の男性がずらりと並んでいた。
 どうも今日は、企業の招待公演のようだ。
 劇団四季の営業活動の成果だとは思うけれど、一般観客の僕としては違和感があった。
 貸し切りなら『どうぞご自由に』ということなんだが。

 2階の最前列などには黒い布が掛けられて座れないようになっていた。
 会場係のお姉さんに聞いたところ、『手すりに乗り出して御覧になる方が多く、頭がじゃまになると後ろの方からのご不満が多いので、使用を控えております』とのことだった。
 最高の席なのにもったいないことだ。
 四季としても観客の数が減るわけで、立派というか太っ腹というか。

      劇団四季 《アスペクツ・オブ・ラブ》
   1998年8月23日(日)1:00PM 大阪/MBS劇場

         ローズ:保坂知寿
       アレックス:石丸幹二
        ジョージ:光枝明彦
        ジェニー:堀内敬子
      ジュリエッタ:井料瑠美

 ロイド=ウェバーが、自身の作品のなかでも最高傑作と評するミュージカル。
 原作はデイヴィッド・ガーネットの小説で、青年アレックスを巡る『愛のいろいろ』がテーマとなっている。

 ロンドン・オリジナル・キャストのCDで予習していたんだが、最初の『ラブ・チェンジズ・エブリシング』って、未来形の歌じゃなくて過去形の歌だったのね (@_@)。
 それから舞台転換が多いのにも驚いた。
 これでは、CDを聞いても良く話が分からないわけだ (^_^;。

 保坂さんのローズは、僕には完璧かと思われた。
 今までいくつかの役で彼女を見ているけれど、僕には気に入らない役柄ばかりだった。
 ローズこそ彼女の実力を遺憾なく発揮した代表作と覚えておこう。

 しかし、ローズって凄くかっこいいのに、ジョージが死んだ後メロメロになっちゃうのはどうかな。
 『行かないで!』なんて言った挙げ句、アレックスに振られちゃってさ。
 まあ、『彼女は孤独が怖い』という伏線はあるんだけれど、気持ちよくアレックスを送り出すくらいの心の余裕が欲しかった。
 まあ、妻サラ・ブライトマンに去られたロイド・ウェッバー自身の気持ちも込められているのであろう。

 石丸さんのアレックスも良かった。
 このミュージカルはなかなか恋愛関係が複雑なんだが、アレックスの気持ちは良く分かったな。

 ジョージはローズを最初に見たときからから心臓発作を起こすくらいだから、50代後半か?(死ぬ時は70才くらい?)
 この年になっても、これだけ女性にもてるのは羨ましい限りだ (^_^) 。
 しかし、破産までさせなくてもいいとおもうな。
 ジョージのジェニーに対する気持ちは、バルジャンのコゼットに対する気持ちと同じかと思われた。

 一番分からないのがジュリエッタ。
 彼女はジョージと愛人関係にありながら結婚を求めず、ローズとの結婚を祝福する。
 で、最後はアレックスと結ばれるんだろ。
 そりゃあ、都合がいい女性だね。 実際にいるとは思えないほど。

 これは井料さんのウェットな役作りにも問題があるのだろう。
 ジュリエット自身も男遊びしているのだから、もっとカラッとしていないとね。

 アレックスとのラブシーンで『同じ年頃の女性とは付き合わないの?』とか聞いていたが、彼女は本当にアレックスと同じ年頃なの?
 アレックスが19歳の時、『19才で結婚して‥‥』と話していたはずだから、アレックスと同じ年頃ということはないんじゃないか?

 ジェニーの堀内さんは女っぽくて、やはり15才には見えなかった。
 6年前の公演を見てみたかったね。
 歌の面で不満はない。 でも15才の声ではなかったね。

 まあ、ストーリーはストーリーとして、ロイド・ウエッバーの音楽は実に繊細で美しい。
 キャストも実力者揃いで、この公演には満足しました。
 
 
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