トーマス・マン作 B・ブリテン作曲
東京室内歌劇場 《ヴェニスに死す》日本初演
1998年10月24日(土)6:30PM 新国立劇場中ホール

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 僕は別にブリテンが好きなわけではないけれど、彼のオペラに巡り会う機会が多かった。

 名古屋二期会で《ピーター・グライムズ》《ねじの回転》《ルクリーシアの陵辱》、ロンドンで《ビリー・バッド》《真夏の夜の夢》。

 これは普通の人より多いでしょう (^_^) ?
 それなら、全曲観劇を目標にしてみようかと思っているわけです。

 ということで、この《ヴェニスに死す》の日本初演も見逃すことは出来ませんでした (^_^) 。

        トーマス・マン作 B・ブリテン作曲
     東京室内歌劇場 《ヴェニスに死す》日本初演
  1998年10月24日(土)6:30PM 新国立劇場中ホール

        指揮:若杉 弘  演出:鵜山 仁
       東京フィルハーモニー室内管弦楽団

 アッシェンバッハ:蔵田 雅之
 旅行者/老いた伊達男/年寄りのゴンドラ漕ぎ/ホテルの支配人/ホテルの理髪師/芸人達の座頭/ディオニソス:勝部 太
 タジオ:徳江 弥(バレリーナ)

 トーマス・マンの原作はヴィスコンティにより映画化もされたので、皆さま御存知のことと思います。
 ドイツの有名作家アッシェンバッハが美少年タジオの虜となり、コレラの流行するヴェニスから逃れられず、遂にはコレラで死んでいくという物語。
 これで正しい?
 あんまり自信ないな (^_^;。
 
 ストーリーの意味するところはよく分からないし、ブリテンの音楽も好みではない。
 しかしこれはなかなかレベルの高い公演で、日本初演の重責は十分に果たせたのではないかと思われた。

 まず第一に賞賛されるべきは、出ずっぱりで歌い続けたアッシェンバッハの蔵田さん。
 プログラムにはキャストの紹介もないので、どういう人かも分からないんだが、これはちょっと不親切。

 それから7つの役を歌い分けた勝部さん。
 他のソリストも、この歌劇団にはなかなかの力量の持ち主が多いと見受けられた。

 演出の鵜山さんは初めて見るが、1953年生まれで、1994年には《ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ》で、読売演劇大賞優秀演出家賞を受けたという。
 舞台は黒を基調とした抽象的なものだったが、特別に冴えは感じなかった。
 しかし、音楽を邪魔することが無く、手堅くまとめ上げられていたのは良かったと思う。

 若杉さん指揮するオーケストラも良かったのではないだろうか。
 曲がよく理解できないので、自信ないけど (^_^;。
 楽器編成はチューバや多くの打楽器が入っているが、室内オーケストラなんでしょうね。

 新国立劇場の予定表を見ると、公演回数が少ない。
 一月の半分も劇場が使われていないようだ。

 ロビーの窓からはパチンコ屋と旅館のネオンが。
 びわ湖ホールと較べるわけではないが、あんな窓なら無い方がいいね。

 東京は寒かった。 会場にはコートを着た人も見られた (@_@)。
 この日は曇り空だったが、新横浜を過ぎても新幹線から富士山が見えていた。
 
 
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