ミュージカル 《ローマの休日》
1999年5月8日 中日劇場

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 映画《ローマの休日》は大好きだけれど、このミュージカル化は成功しているとは言えない。
 まず、ミュージカルというには、歌が少なすぎる。
 何よりも、愛し合う二人が愛の言葉を語るとき、それが歌にならなくてはミュージカルにする意味がないではないか。
 それなのに、肝心なポイントはセリフなんだものな。
 また、印象に残る曲がないし、歌詞も何だかおかしかったような‥‥。

 同じ創作ミュージカルということで《ルルドの奇跡》と比べてしまうんだけれど、全編を音楽で作り上げた《ルルドの奇跡》の方が、ずっと志の高いミュージカルだと思う。
 《ローマの休日》を見た後で、浮かんでくるメロディーが『ベルナデットの歌』なんだものな (^_^;。

 大地真央さんのアン王女は、声が不調かとも思ったが、特に第2部が良かった。
 オードリー・ヘプバーン亡き後、アン王女は大地さんのものであろうか。
 彼女が『王家への責任』を語るときや、最後に新聞記者に挨拶する場面など、ジーンと来た場面はあったが、それは大地さんの勝利であり、ウィリアム・ワイラー監督の脚本の勝利なのであろう。
 その場面に音楽は無いのだからね。
 つまり、この作品で僕が感動した部分はミュージカル化とは無関係の部分だったのだ。

 山口祐一郎さんは《カンパニー》よりはずっと納得のいく役作りだった。
 アン王女と別れてから歌う歌は、証文の出し遅れみたいな気もしたけど。
 でも、記者会見後の二重唱はミュージカルらしくて良かったね。
 しかし、僕が山口さんに期待するのはこんな役柄ではない。

 しかし、どうしてこの作品が『月刊ミュージカル』で昨年のナンバー2になるのだろう(@_@)?
 『月刊ミュージカル』の投票方法に欠陥はないのだろうか?
 劇場評論家として生きていくには、東宝や四季の新作は入れておかないといけないような気になるとか?
 
 
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