喜歌劇楽友協会 《ジプシー男爵》 全3幕 1999年5月15日(土)5:30PM 森ノ宮ピロティーホール |
喜歌劇楽友協会第36回定期公演 オペレッタ《ジプシー男爵》全3幕 1999年5月15日(土)17:30 森ノ宮ピロティーホール 指揮:牧村邦彦 訳詞・台本・演出:向井楫爾 オーケストラ:エウフォニカ管弦楽団 コーラス:喜歌劇楽友協会合唱団 バリンカイ:角地 正範 ザッフィ:鹿賀 千鶴子 ツィプラ:小西 千代美 ジュパン:有元 正人 アルゼーナ:花岡 麻美 オットカール :角地 正直 ミラベラ:藤原 新知子 カルネロ:篠原 良三 ホモナイ:澤井 宏仁 パリ:大岡 照二 《ジプシー男爵》を見るのはこれが初めて。 珍しい演目を見せていただき、感謝したい。 しかし、これはおかしな話であった。 例えば(プログラムにも書かれているんだけれど)、豚飼い(というより養豚業者と言った方が良いであろう)ジュバンの娘アルゼーナは新しい領主となったバリンカイ(男主人公)からの求婚を断るために『私の結婚相手はせめて男爵でなければ』と言う。 で、バリンカイは一幕の最後に『私はジプシー男爵(って何だ?)』と歌うんだが、アルゼーナが結婚する相手オットカールはアルゼーナの家庭教師ミラベラの息子(当然平民だろう?)なんだものな。 このオペレッタでの身分関係を考えてみると次のようになる。 養豚業者の娘(アルゼーナ)は領主(バリンカイ)より上で、男爵とつり合うくらい。 領主はジプシー娘(ザッフィ)より上。 でもオスマン・トルコの総督の娘(これもザッフィ)の方が領主より上。 戦争で手柄を立て男爵となったバリンカイはオスマン・トルコの総督の娘(ザッフィ)と同等。 これが当時の常識だったのだろうか(@_@)? バリンカイがアルゼーナに振られたからザッフィ(女主人公)に求婚するように見えるのも、純粋でない感じがした。 ヨハン・シュトラウスの音楽は、もちろん親しみやすい部分もあるんだが、終わったかな? と思うとまた始まったりして‥‥まあ、少々複雑であった。 そういえば、ベルリオーズの《ラコッツィー行進曲》に似た曲があったが、《ファウストの劫罰》が初演されたのが1846年で、《ジプシー男爵》が1885年。 何らかの影響があるのだろうか? キャストではジュバンが一番役になり切っていたかな。 主役キャストにはこのレベルの演技を求めたいところだ。 特に主人公バリンカイは出番が多いのに間を持て余している感じがして残念。 声はいいんだから。 この役に人を得れば、もう少し印象も変わってくるだろう。 第二幕でオーストリー・ハンガリーのために戦う兵士を集めに来たホモナイ伯爵の声は大変立派で、オーケストラの音の壁を突き破って聞こえてきた。 ホモナイ伯爵は戦争の先頭に立って戦う、真の愛国者だね。 今ならミロシェビッチがそうなんだろうか? 舞台があの辺だから、そんなことを考えてしまった。 オーストリア継承戦争はフリードリッヒ大王と戦ったのかと思っていたら、彼らはイスパニアに行ったんだね。 僕の席はいつでも出口のそば。 今日は左側出口のそば、真ん中の通路のすぐ後ろで見ていた。 そうしたら、第三幕のイスパニアからの凱旋行進がこのドアから入ってきて、僕の目の前を通っていった (@o@)。 なお驚いたことには、行進中の人物(フレダーマウスさん)から会釈されたのね (^_^) 。 |